マーケティングの内部転換について、前回に引き続き、第3.第4の方向を考えていきます。
第3は、顕示性提供から充足性支援への移行。
従来のマーケティングが、流行や権威など外側へ向かって、限りなく拡大する「外延市場」対応であったとすれば、これからはむしろ、心の内側に潜む体感や自足などの「内包生活」を深化させるという対応が求められます。
それは、ブランド消費の対極にある「自己深化」といった生活行動に、積極的に対応することであり、需要者の内部を豊かにする「インナー・サポーティング」の拡大を意味しています。
第4は、消費者志向から生成者(=生活民)支援への転換。
これからの需要者は、単なる消費者や生活者を超えて、生活上の新たな「ねうち」を次々に創造する生成者(=生活民)へと進化していきます。
こうした需要者の変化に向けて、供給者が柔軟に対応していくためには、生成者の工夫やアイデアを敏感に吸収して、生み出された私効を社会的な共効や個効を変えていくことが望まれます。
具体的には、独自の「情報」や「イメージ」を創りだす私人の成果を商品やサービスに取り入れたり、商品やサービスを、できるだけ取捨選択や変換再編が可能なように設計していきます。
他方では、需要者の純私的な私効やアイデンティティーにはできるだけ踏み込まないように配慮します。
こうした方向は、従来の消費者対応や生活者対応をはるかに超えて、「ジェネレーター・サポーティング(生成者対応)」、あるいは「セルフヘルパー・サポーティング(生活民支援)」とでもよぶべきものになるでしょう。
以上にあげた4つの方向を実践していくことによって、これまでの消費市場のみを対象にした「オールド・マーケティング」はひとまず解体され、需要者自身の作り出す生き方や暮らしを、柔軟に支援する「ライフ・サポーティング」へと、徐々に再構築されていくことになるでしょう。
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