ポスト消費社会の方向を、生成、統合、複合の3つの社会が鼎立する三立社会と定めた時、従来「マーケティング」とよばれてきた企業活動は、どのような方向へ向かえばよいのでしょうか。
これまで述べてきたことを今一度整理してみると、マーケティングを解体・再構築すべき方向、つまり「脱構築(déconstruction)」のゆくえが見えてきます。
それは図表に示したように、左右に分かれており、一つは左側の、マーケティングそのものの内部を再構築する「内部転換」、もう一つは右側の、マーケティング活動の外縁を再構築する「外部転換」だと思います。
内部転換とは、いうまでもなく、供給者主導の従来型マーケティングを解体し、需要者支援を強化したライフ・サポーティングへと再構築することです。
需要者、つまり生活民の暮らしに向けて、新たな生活資源を開発・提供し、市場交換を通じて、それぞれの生活形成を支援するという、企業本来の機能をより徹底し、さらに深い需給関係を構築していくことです。
しかし、脱構築はそれに留まるものではありません。そうした内部転換を果たしたうえで、さらに今後のマーケティングには、消費社会から生成社会への移行に参加するという外部転換が求められます。
つまり、複合化する社会の、再配分や互酬システムとも、新たな連携を築くという課題です。
そのためには、企業がまず、再配分の基本的な主体である政府や行政部門との間に、新たな関係を築きあげなければなりません。あるいは再配分という分配システムとの間に、新たな役割を創り出すことが期待されます。
また複合社会のもう一つの柱である互酬制度についても、この制度を順調に再生させるためには、家族制度や地縁社会などの共同体とも、新たな協力関係を築き上げることが求められます。それは企業やマーケティングが、共同体のために何ができるかを自問するということになるでしょう。
内部転換と外部転換の双方について、マーケティングの進むべき方向を、改めて考えてみましょう。
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