2019年4月10日水曜日

消費市場を“生活素場”へ変えていく!

生活民自身の差延化行動が拡大すれば、既成の「消費市場」もまた「生活素場」へと“脱構築”されていくことになります。

こうした方向を生活民の立場から、より積極的に進めていくには、どうすればいいのでしょうか。

 




それは多分、供給者サイドに向けて、商品開発や流通革新のあり方を、次のような方向へ転換するように、適切に誘導していくことだと思います。

供給行動の目標を変えてほしい!

 従来の供給手法が主に目標としてきたのは、量産された市場的な「共効」の差を、いかにして新たに作り出すかという「差別化」や「差異化」でした。

しかし、これからは、個々の需要者がそれぞれ独自に差を広げられる「差延化支援ヘと、その軸足を移していくことが望まれます。

いいかえれば、供給者が予め決定した、売買時の「共効」に関する「ねうち」対応から、需要者が使用中に作り出す「私効」を拡大させる、新たな「ねうち」対応へと移行していくことでしょう。

“最小共通素”をめざしてほしい!


これまでの商品開発では、できるだけ多くの需要者を獲得できる“最大共通素”を狙ってきました。

しかし、差延化に対応していくには、むしろ“最小共通素”を提供するほうがより適切になってきます。


最小共通素とは、需要者の求めるさまざまなネウチの中の、最も基礎になる部分ですが、それはまた他人の求める最小部分とも共通している要素です。

とすれば、一つの商品に占める最小の共通要素とは何なのか、それを徹底的に追求したうえで、需要者自身にそれらを組み合わせてもらったり、重ね合わさせてもらうことを前提にして、各々の満足感を高めていくような開発手法が求められます。

こうした方向は、従来の商品開発の手法からいえば、まったく逆転の発想ともいえるでしょう。

需要者の自作願望を刺激してほしい!


商品やサービスそのものに、予め参加勧誘姓、多用途性、変換刺激性などの要素を組み込んで、需要者がそれを手にした時、何か変わった使い方をしてみたい、自分なりの使い方をしてみたい、というような気持ちを引き起こさせることが必要です。

それには、商品の用途をあまりキッチリとは作らないで、ある種の“隙”や“ゆとり”を持たせ、需要者自身に遊んでみたいと思わせるような、事前に仕組むことが求められるでしょう。

素材や部品の販売に、指導・助言や組み立て代行などを加えてほしい!

 一つの商品や素材を売る場合、その中に差延化を誘い出すような情報サービスや組み立てサービスを、同時に織り込んでいくことが求められます。

それには、商品そのものに“私効”的な情報やサービスを組み合わせて売り、それによって付加的な有用性を高めていくという手法が考えられます。

流通市場の役割を変えてほしい!

上記のような商品対応の変化を受けて、流通市場もまた「共効」を売る場所から、柔軟な「私効“素”」を提案する場所へと大きく変えていくことが求められます。

さらには供給側として商品を「売り切る」場から、需要者が私効素を「使い切る」までの、修繕・再生・廃棄などのサービスを含む、長期的な需要―供給の場にもまた転換させていくことが必要でしょう。

以上にあげた5つの方向へと、既存の消費市場を向かわせることができれば、供給者は「価値創造」や「効用創生」という次元を大きく超えて、より自律した需要者の生活形成、つまり「私効生成」に役立つ商品やサービスを提供していけるようになるでしょう。

それは、消費市場だけを前提にしたマーケティングの時代が終わり、新たに「生活素場」に向けた「私効支援(エフィカシィ・サポーティング:efficacy supporting)という時代の幕開けを告げています。

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