2019年4月18日木曜日

消費社会とは何だろうか?・・・2つの定義がある!

消費市場から生活素場へと、供給側からの私効支援が進んでいけば、今後の市場社会には、単なる〝消費〟社会から〝生成〟社会ともいうべき方向へ、新たに進んでいく可能性が生まれてきます。

生成社会とは、生産と消費の調和した社会、生産者と需要者が統合化された、近代社会の最終目標「ラストモダン」を意味していますが、その前に「消費社会」とは何かを考えておきましょう。

消費社会(consumer society)という言葉が、世の中に定着してから、どれくらいたったのでしょう。マーケティング関連分野では、今でもなお肯定的に扱うケースが多いようですが、学者やジャーナリストの中には、過剰消費や環境問題などに絡めて、否定的にとらえる論調も増えています。

一体、消費社会とは、どのような社会をいうのでしょう。

辞書で確かめてみると、一方では「消費の領域が拡大して、消費が生産を規定する社会」(広辞苑)というように、生産と比較した定義があります。

他方では「高度に産業が発達し、生理的欲求を満たすための消費ばかりでなく、文化的・社会的要求を満たすための消費が広範に行われるような社会」(大辞林)、あるいは「産業が高度に発達し、生きていくのに必要な消費だけでなく、文化的な欲求を満たすための財やサービスの消費が大量に行なわれる社会」(日本国語大辞典)など、消費の質的変化を指摘する定義もあります。




前者のような「消費が生産を規定する社会」という定義は、主にアメリカで使われています。


例えば経済心理学者のG.カトーナ
大衆消費社会mass consumption society,1964)」という言葉で「大衆による大量消費が特徴となった社会」を表しています。

また歴史家のD.ブーアスティン
消費社会consumption communities,1974)」という用語に「消費者による民主化の進む社会」という意味を担わせています。

どちらも、大衆や消費者が主導する社会を意味しています。

一方、ヨーロッパの学者の多くは、後者のような「文化的消費が中心になる社会」と見なしています。


例えば、フランスの社会学者J.ボードリヤール消費社会la societe de consommation,1970)」を「物の有用性よりも、物にまつわる記号の消費が中心となった社会」の意味で使っています。

 またイギリスの歴史学者J.サースク消費社会consumer society,1978)」という言葉によって「生活必需品以外の物の製造と販売が恒常的に行われている社会」を表現しています。

これらでは、主に消費行動の対象面から、消費社会が定義されています。 

以上のように、消費社会の定義については、アメリカとヨーロッパでやや異なり、前者では「誰が主導しているか」という主導的視点で、また後者では「何が消費されているか」という対象的視点で、それぞれ議論が進められているようです。

ここには、消費社会を積極的に形成してきたアメリカと、それに追随してきたヨーロッパの、それぞれの立場が反映されている、といえるでしょう。

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