2023年12月18日月曜日

言語6階層説:観念言語とは・・・

言語6階層説の6番めは「観念言語」です。

観念言語とは、「身分け」「識分け」「言分け」が捉えた事象を、「網分け」の理知によって精細に捉え直し、音声や記号などの創作言語で表現した言葉です。

この言葉は、専門的知識人や特定社会集団などの“理”縁共同体が、高度な思考するための記号として使われています。


前回の「思考言語」は、自然言語の「網」を使いつつ、発声しないまま、さまざまな選択を促す言葉でした。今回の「観念言語」は、意図的な「網」を使って、発声の有無に関わらず、さまざまな選択を促す言葉です。

意図的な網による区分、つまり「網分け」とは【言語6階層説へ進展する!】で述べたように、「言分け」による「分節」によって生み出された自然言語や自然記号に対し、さらに特定の意図による「網」をかけ、細分化された言葉や記号を創り出すことです。

「言分け」で生まれたコト界では、自然発生的に生み出された自然言語によって、日常的な会話や文通、さらには思考が行われています。

だが、より高度な考察や思索などになると、人類はコト界の中に、もう一つ、「網分け」によって新たに仕分けされた世界、アミ界という次元を生み出します。

このアミ界において、人類は人為的にさらに抽象化された思考言語を使うようになったのです。

具体的な事例については【思考・観念言語は地縁共同体から”理”縁共同体へ!】で取り上げたように、以下の言語が相当します。

音声言語・・・思考語、学術語、専門語など、表現対象に特定の網をかけ、自然言語をより先鋭化、限定化した言語群

文字言語・・・数字、学術文字、専門文字など、表現対象に意図的、特定的な網をかけ、新たに創造された文字記号群

表象記号・・・物理記号、科学記号、学術記号など、表現対象を特定するため、意図的、固定的に創造された論理記号群

このような言語階層説は、古くから唱えられてきました。

例えば古代ローマ帝国の神学者・哲学者アウグスティヌスの言語三階層論でも、会話に使う自然言語、言語が生まれる前の情動言語、思考に専用する思索言語三階層説が提唱されています。

これに当てはめると、思索言語には前回の思考言語と今回の観念言語両方が相当することになります。

しかし、思索という行動には、日常言語レベルの通常思考と、専用言語を使った濃密思考という、段階的な進展があると思います。後者で使われる言語こそ「観念言語」ということになるでしょう。

だが、それがゆえに、観念言語には、圧倒的な利点とともに、幾つかの欠点も潜むことになります。

次回からは、それらの問題を考えていきましょう。

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