言語6階層説の最初は「深層言語」です。
当ブログでは、これまで「言語3階層説」と題し、深層・象徴言語、日常・交信言語、思考・観念言語の3つを分けてきました。
これを進展させた、今回の言語6階層説では、深層・象徴言語を「深層言語」と「象徴言語」の2つに分けました。
両者を区分するのは「識分け」、つまり「意識するか否か」です。「身分け」が捉えたものを意識するか否かで、2つの言葉が分かれてきます。
意識されたものを言語化するのが「象徴言語」であり、意識されないものを言語化するのが「深層言語」です。
「身分け=感覚」が把握したものでも、「識分け=意識」が把握しない限りは、「無意識=深層意識」となって、身分けされた空間の底へ沈殿していきます。この沈殿物を何らかの形で言語化したもの、それが「深層言語」です。
換言すれば、深層言語とは、「身分け」が把握したが、「識分け」が漏らした、無意識(深層意識)の事象を、言葉になる以前のイメージや偶像などで表した記号、ということです。
当ブログの過去の記述を振り返ると、ユングの「元型」論、井筒の「種子」論が相当します。
●C.G. ユング・・・意味付与は一定の言語の型を使ってなされるが、この型はさらに原始心像から生まれる。意味がどこから来るのかという質問をどこで発しても、われわれは必ず言語やモチーフの歴史へ入りこんで行き、その歴史はつねにまっすぐに未開人の不思議の世界へと通じている。(『元型論』林道義訳:1999年) ●井筒俊彦・・・およそ外的事物をこれこれのものとして認識し意識することが、根源的にコトバ(内的言語)の意味分節作用に基づくものであることを私はさきに説いた。そして、そのような内的言語の意味「種子(ビージャ)」の場所を、「言語アラヤ識」という名で深層意識に定位した。(『意識と本質』1982年) |
これらの言説に置き換えれば、深層言語とは、無意識下の原始心像である「元型」であり、言語の種子である「言語アラヤ識」である、ということになるでしょう。
以上のように位置づけると、深層言語とは、自然的な言葉が生まれる前に、胎内的な言葉が湧き上がる次元、ということになります。具体例としては、次のような事例が挙げられます。
●音声言語・・・無意識のため息・喘ぎ・息づかい ●文字言語・・・無意識の手振り・身振り・しぐさ ●表象記号・・・元型・心像イメージ・・・例えば、ユングが元型(アーキタイプ)論で示した太母、老賢者、トリックスターなどの心像 |
要約すれば、深層言語とは、感覚が捉えた対象を、意識が把握する前の、体感的・心像的動作やイメージなのです。
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