2022年7月9日土曜日

言語3階層説を総括する!

言語3階層説を具体的な「言葉」によって、改めて検証してきました。

その結果を取りまとめ、言語の3階層を総括しておきます。

すでに【言語3階層説を再び整理する!】において、言語には3つの階層があると述べてきましたが、今回の個別分析によって、次のように要約できると思います。

深層・象徴言語

●「身分け」が認知し、「識分け」が識知した対象を、「言分け」の理知によって原初的な記号に置き換え、シニフィアン(意味するもの)とシニフィエ(意味されるもの)の関係をとりあえず繋いだ言葉である。

縁共同体において自然発生的に創造され、共通記号として広まった言葉である。

●自然発生的に生まれた言葉であるから、シニフィアンとシニフィエの関係やシンタックス(文法)精度は曖昧なままであるが、その分多義的で可変性も高い。

●特定の縁共同体の内部で生まれた言葉であるから、その共同体との距離によって使用の範囲が定まる。

●感覚の捉えた対象を直観的な理知力で表現する記号であるから、詩歌絵画などの形式で表現されるケースが多い。

実例・・・音声言語(擬声語:オノマトペ、擬音語、擬態語、擬容語、擬情語など)、文字言語(擬声文字、擬音文字、擬態文字、擬容文字、擬情文字など)、表象記号(元型:アーキタイプ、神話像、音符記号、絵画記号など)

日常・交信言語

●「身分け」が認知し、「識分け」が識知した対象を、「言分け」の理知によって言語化し、シニフィアン(意味するもの)とシニフィエ(意味されるもの)の関係を共同化した言葉である。

縁共同体において自然発生的に創造され、共通記号として定着した言葉である。

●自然発生的に生まれた言葉であるから、シニフィアンとシニフィエの関係やシンタックスの制度はかなり曖昧であるが、その分広義的で融通性もある。

●特定の地縁共同体が創り出した言葉であり、その共同体との距離によって使用の範囲が定まる。

●識知の捉えた対象を日常的な理知力で表現する記号であるから、会話、書簡、信号などの形式で表現されるケースが多い。

実例・・・音声言語(口頭語、会話語、交信語など)、文字言語(表音文字、文書文字など)、表象記号(絵文字、文字記号、音声記号、交通標識、鉄道信号など)。

 思考・観念言語

●「身分け」が認知し、「識分け」が識知し、「言分け」が理知で言語化した対象を、さらに観念によって特定化し、シニフィアン(意味するもの)とシニフィエ(意味されるもの)の関係を極めて限定した言葉である。

●地縁共同体において自然発生的に創られた日常・交信言語を基礎にしつつ、縁共同体が人工的に創り出した言葉である。

●意図的に創られた言葉であるから、シニフィアンとシニフィエの関係やシンタックスの制度は極めて明確であるが、その分狭義的である。

●特定の縁共同体が創り出した言葉であり、その共同体との距離によって使用の範囲が定まる。

●識知の捉えた対象を組織化された理知力で表現する記号であるから、論文、評論、発表、講演などの形式で表現されるケースが多い。

実例・・・音声言語(思考語、学術語、専門語など)、文字言語(数字、学術文字、専門文字など)、表象記号(物理・化学記号、学術記号など)。

以上のように、言語における3つの階層を整理してみると、私たちが日常的に使っている言葉にも、およそ3つほどの段階があり、それぞれの使用によって、把握対象の姿表現様式の形もまた、さまざまに変わってくるといえるでしょう。

0 件のコメント:

コメントを投稿