2026年2月26日木曜日

Life Creators Marketing10:差延化の「編集」行動をどう進めるか?

生活民自身は、供給主導型の消費市場をどのように利用していくべきか、「差延化」の5つの行動を検討しています。

3番めは「編集」行動です。編集とは、さまざまな商品が溢れている消費市場の中から、幾つかの既成品を購入し、自らの手は加えないものの、自由自在に「編集」を加え、自分なりの生活財を創り上げる行為です。

具体的な事例は【編集・・・問われるのはコトとモノの調整力!で触れていますが、生活民という立場からから見れば、次のようになります。


●ホテルのバイキングで朝食を編集する

朝食会場にズラリと並べられた惣菜の中から、好みの料理を選び出し、その日に見合った、独自のモーニングプレートを構成します。

供給者がリードする消費市場で、生活民側が主体となる、典型的な生活行動といえるでしょう。

惣菜バイキングで自前弁当を編集する

惣菜店の店頭に並べられた、5060種の惣菜の中から、好みのものをさまざまに取り上げ、別売りのごはんと合わせて、体調や好みに見合った弁当を作り出します。

マイブレンド酒を編集する

バーのカウンターにズラリと並べられたウィスキーのモルト(原酒)の中から、好みのものを選びだし、量的に編集しながら、自分だけの「マイウィスキー」を作り出します。

自由編集アクセサリーを編集する

アクセサリー市場から購入してきたフリースタイルの素材へ、自らのアイデアでさまざまな編集を加え、1つの素材をブローチにしたり、ペンダントにしたり、いろいろなデザインを楽しみます。

生活民はその時の気分に沿って、いろいろな工夫を加え、自らの満足度を高めていきます。

高級コンポステレオを編集する

ちょっとマニアックな生活民は、A社・B社・C社の発売した、さまざまなステレオ部品の中から好みの素材を買ってきて、独自の組み合わせで再生機を編集し、自分好みの音感を作り出します。


以上に挙げた「編集」行為に対しては、供給側からもすでにさまざまな対応が進められています。具体的な事例については、拙著『人口減少逆張りビジネス』で詳しく紹介しています。


これらの事例を見ると、「編集」行動とは、モノには直接手を加えないものの、コト次元の組み合わせや変換によって、モノ次元の「共効」や「個効」を「私効」に変えてしまう生活行動ということになります。

「編集」行動は、供給主導型の消費社会の中で、生活民が主体性を何とか維持している、最も基本的な生活行動ともいえるでしょう。

2026年2月17日火曜日

Life Creators Marketing9:差延化の「変換」行動をどう進めるか?

生活民自身は供給側主導の消費市場をどのように利用していくべきか、「差延化」の5つの行動を検討しています。

2番めは「変換(convert」行動です。変換とは、消費市場から提供される商品のネウチ共効)を、生活民独自の全く別のネウチ私効)に変えてしまう行動です。


「変換」・・・生活民マーケティングの神髄!】でも紹介していますが、代表的な事例は次のようなものです。

風呂敷を変換する

伝統的な梱包用具には、さまざまな使用法が生み出されています。
壁掛けテーブルクロスなどはもとより、ネッカチーフにも変換できます。

100均商品を変換する

100円ショップで買ってきた商品は、全く別の道具に変えられます。
例えば、
コーヒーフィルターをフラワーリース(花飾り)やランプシェード(電灯笠)に、ザルを壁掛け時計に、ステンドグラスオーナメント(装飾ガラス用部品)を窓枠風インテリアに、焼き網をウォールシェルフ(壁棚)に、100円手ぬぐいを子ども服に・・・などなど、生活民はすでにさまざまな変換を実現しています。

マスキングテープを変換する

工業・工作用のマスキングテープは、さまざまな商品を独自の道具に変換できます。
例えば、壁紙、写真フレーム、窓飾りなどのインテリア化はもとより、メガネフレーム、ブローチ、折り紙ネックレスなどのアクセサリー化、ギフトラッピング、グリーティングカードなどの交際グッズ化というように、多様な変換が可能です。

冷蔵庫を変換する

食品保存用の冷蔵庫は、さまざまな用途に変換できます。
実際の使用例を写真で確かめてみると、食品以外に化粧水、薬品ビニール袋に入れた通帳や現金、さらには救急医療情報キット「
命のバトン」などが入っており、総合保管庫として使われています。
 


以上に挙げた「変換」行為に対応する、供給側からの具体的な事例については、拙著『人口減少逆張りビジネス』で詳しく紹介しています。


このように振り返ると、「変換」行動は供給側の主導する消費社会においても、それなりの復活を果たしているようです。

これもまた、需給逆転時代の生活民マーケティング、その先端行為ともいえるでしょう。

2026年2月9日月曜日

Life Creators Marketing8:差延化行動をどう進めるか?

LCLife CreatorsMarketing8大ポイントを、前回のブログで提案しました。

このような生活行動を、生活民自身が供給側主導の生活市場に向けて、実際に応用していくには、どのようにすればいいのでしょうか。自律・自給回復型の暮らしをめざすには、供給側の差し出す商品やサービスをいかに利用していくべきか、という課題が浮上してきます。

まずは最も基本となる差延化行動。【差延化行動とは何か?】で述べたように、供給者の差し出す「ききめ」、つまり「共効」を素材として、生活民一人ひとりが独自の「ねうち」、つまり「私効」を積極的に創りだす生活行動、を意味しています。

この行動には、【差延化5行動の関係を考える!】で示したように、私仕様、参加、手作り、編集、変換など、主に5つがあります。これらの行動を生活市場に向けて、どのように実行していくべきでしょうか。

中核となる「手作り」は「自分の手で作る」ことであり、まさに自給自足の典型です。とはいえ、私たちが生きている、現在の市場社会ではほとんど不可能です。

自ら水田へ行って田植えをし、収穫した籾を脱穀・精米してご飯を炊く、という単純な行為でさえ、今では容易なことではありません。スーパーでお米を買ってきて、炊飯器で手ずから炊き上げるのが精一杯の「手作り」です。

それゆえ、イマドキの「手作り」とは、購入してきた素材に何らかのカタチで自らの手を加え、最終的な生活財に作り上げる、という程度でしょう。言い換えれば、5割の素材に5割の手作りを加えて、目的のモノを作りだす、ということになります。

●食生活分野

食生活分野でいえば、私有農園や家庭菜園などで、自ら米麦や野菜を栽培するのが基本ですが、それには種や苗、あるいは肥料や農具などを購入してきたうえで、育成ノウハウを養わなければなりません。

食品や飲料などを手作りする場合でも、素材や器具などを備えたうえで、調理ノウハウを訓練することが必要です。

もっともこの分野では、供給側からもさまざまな対応が始まっているようです。一例を挙げれば、手作りのパン、味噌、豆腐、燻製、ビール、ワイン、日本酒、焙煎コーヒー、ハーブ、ヨーグルトなどでは、適切な素材やノウハウを供給側が提供して、生活民の差延化行動を支援しています。

●衣料分野

衣料分野では、裁縫や編み物などで、自作の衣料を作り出すことが基本ですが、現代の高度な消費社会では、ほとんど行われていません。

とはいえ、個性にこだわる生活民の中には、自らの手で作る自作ファッションを始める人も生まれています。変わった布地で好みのデザインの服を自作したり、古着を加工して全く新しい衣装を作り出すもので、裏原宿あたりの若者の間で流行しています。このためか、一時は不振だったミシンが、再び売れ始めているようです。

●住生活分野

住生活分野では、住宅や家具などを自前で作る行動が該当します。

実例としては、ログハウスに代表されるセルフビルド住宅が代表的な事例であり、建設を指導する学校や、素材キットを販売するメーカーなどが既に登場しています。

また古家具にペインティングして再生するトールペインティング、多様な素材を再活用して立体的な額縁を作るデコパージュ、型紙を切り抜いて古着や古道具などに印刷するステンシルなどのニュー手芸など、手作り家具の分野でも製作指導教室が全国的に増えています。

◆共有側からの対応事例


以上に挙げた、供給側からの具体的な事例については、拙著『人口減少逆張りビジネス』で詳しく紹介しています。

このように振り返ると、手作り行動は供給側の主導する消費社会においても、それなりの復活を果たしているようです。これこそ、需給逆転時代の生活民マーケティング、その先端といえるでしょう。