生活行動論の2番めは「差元化」行動です。
差元化とは、【差元化とは何か?】で述べたように、生活願望の「欲動」に対応して、記号や機能をあえて外すことで、身体性や直感性、原始性や動物性などの「身分け」力を回復させようとする生活行動です。
生活球でいえば、下の方に位置する生活願望「欲動」、つまり無意識・感覚、感度、体感、象徴、神話などを求める願望に向けて、言葉以前の世界を求めていくもの、ともいえるでしょう。
それゆえ、下図に示したように、生活球の下部の欲動=感覚次元において、横軸の私欲・実欲・世欲と、前後軸の虚欲・常欲・真欲をクロスした次元に、9つの行動として生まれてきます。
●中段は、私たちの世界認識行動の中核として、身分けや識分けなどを行う次元です。日常的な無意識行動を真ん中に、次の3つの行動が生まれてきます。
➀私欲・常欲・欲動行動・・・個人的な日常の「効能」を求める身分け行動・・・例:自らの五感で捉えた音声やイメージなどを、さまざまな形に識分けしようとする行動。メタバース上に現れたイメージや音声などを、自分なりに理解しようとする行動。 ➁実欲・常欲・欲動行動・・・日常生活での一般的な「効用」を求める身分け行動・・・例:個人的に五感で捉えた世界の意味やイメージなどを、他人とも共有しようとする行動。メタバース上に現れたイメージや音声などへの理解を、他人と共有しようとする行動。 ③世欲・常欲・欲望行動・・・社会的な日常の「価値」を求める身分け行動・・・例:個人が五感で捉え、識分けした世界の意味やイメージなどは、人間集団に共通していると理解する行動。メタバース上に現れたイメージや音声などは、誰にも共通していると理解する行動。 |
●上段は、無意識・感覚活動の一面として、遊びや虚脱などを行う次元です。日常的な虚脱行動を中核としつつ、その左右から、個人的、あるいは社会的な、次のような行動が生まれてきます。
➃私欲・虚欲・欲動行動・・・個人的な虚構の「効能」を求める身分け行動・・・例:個人的に頭の中で夢や幻想などを描き、その中で戯れる行動。メタバースの中で音や風景などを楽しむ行動。 ➄実欲・虚欲・欲動行動・・・日常的な虚構の「効用」を求める身分け行動・・・例:個人的に脳内に描いた夢や幻想を、他者に話して共有しようとする行動。メタバース上の音や風景などを他者と共に楽しむ行動。 ⑥世欲・虚欲・欲動行動・・・社会的な虚構の「価値」を求める身分け行動・・・例:夢や幻想の世界が多くの人間に共有しているものと理解する行動。 メタバース上の音や風景などは皆で楽しめるもの、と理解する行動。 |
●下段は、無意識・感覚活動の一面として、信仰や規範などを求める次元です。日常的な真面目行動を中核としつつ、その左右から、個人的、あるいは社会的な、次のような行動が生まれてきます。
⑦私欲・真欲・欲動行動・・・個人的な真面目さの「効能」を求める身分け行動・・・例:個人的に頭の中で夢や幻想などを描き、それらを信じたり重んずる行動。メタバース上に現れた虚像を信仰すべき対象と思う行動。 ⑧実欲・真欲・欲動行動・・・日常的な真面目さの「効用」を求める身分け行動・・・例:個人的に頭の中へ描いた事象や信仰などを、他人に話して共有しようとする行動。メタバース上に現れた虚像を他者に信仰すべきと勧める行動。 ⑨世欲・真欲・欲動行動・・・社会的な真面目さの「価値」を求める身分け行動・・・例:夢や幻想の世界に現れた神聖さや尊さは、多くの人間によって共有されている、と理解する行動。メタバース上に現れた虚像を神や仏として信仰する行動。 |
かなり複雑になってきましたが、身分け・識分け行動を営む生活民は、そこから生まれてくる「欲動」を満たすため、以上のような9つの行動を行っています。
これこそが“差元化”という生活行動の意味するところでしょう。