2つめに検討すべきは、生活民の「欲動」へどのように対応するか、という課題です。
【欲動はブランドを求めない!:2020年1月13日】で述べたように、生活民は「言葉(word)」や「記号(sign)」よりも「感覚(sense)」や「象徴(symbol)」を重視しています。
カラー、デザイン、ネーミング、ブランド、ストーリーなどよりも、シンボル、アーキタイプ、センス(感覚)、ドリーム、ミソロジーなどを重んじる、ということです。
このような生活民へ対応するには、ブランディングにもまた根本的な変革が求められます。
基本的な方向は【差元化とは何か?:2015年8月20日】で述べたような、①象徴次元、②無意識次元、③感覚次元への、3つのアプローチです。
これらをブランディングに応用してみましょう。
①象徴次元へのアプローチ
ブランドが何かを示すものだとしたら、従来のようにハイソ、ファッショナブル、クールなど欲望対象を表現するのではなく、トラディショナル、プリミティブ、ウェットなどの欲動が求める次元を積極的に提示していくことが必要でしょう。
②無意識次元へのアプローチ
生活民が無意識次元で求めているのは、眠り、酩酊、陶酔といった状況の中でたっぷりと夢や幻想を味わい、そこから生来の直感力や超能力を回復させて、外部から誘導されるトレンドの虚構性を自覚し、本来の生活願望を確認していくことです。
となると、生活民の無意識次元に対して、できるだけ介入しないことがブランディングの役割となるでしょう。
となると、生活民の無意識次元に対して、できるだけ介入しないことがブランディングの役割となるでしょう。
③感覚次元へのアプローチ
生活民は表層的、記号的な自己顕示だけでなく、深層的、体感的な満足を求めています。
アパレル分野を例にとれば、防寒、防暑、触感、吸収性、芳香など、感覚・触覚次元の欲動に敏感になっている生活民に対し、より直感的な次元から、新たな素材やデザインなどを積極的に提供するブランドであることを、より強く提示することが求められるでしょう。
アパレル分野を例にとれば、防寒、防暑、触感、吸収性、芳香など、感覚・触覚次元の欲動に敏感になっている生活民に対し、より直感的な次元から、新たな素材やデザインなどを積極的に提供するブランドであることを、より強く提示することが求められるでしょう。
以上のように、「欲動」次元へのブランディング、つまり「差元化ブランディング」では、表層的なコト戦略をできるだけ遠慮したうえで、深層的なコトや感覚の世界へアプローチを新たに展開していくことが求められるのです。
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