しかし、生活民もブランドも、この世の中にはれっきとして存在しています。
もしブランドが生活民と共立する道があるとすれば、それはいかなる方向でしょうか。
最初に検討すべきは、生活民の「私効」へどのように対応するか、ということでしょう。
【生活民はブランドを無視していく!:2019年12月29日】で述べたように、ブランドというネウチは、最も強度な「共効」ですから、生活民の強く求める「私効」に届くためには、提供する商品の本質、例えば機能や品質から付帯サービスに至るまで、根本的な次元からの革新が求められます。
現代の市場社会の中で生活民が「私効」を実現していくには、【生活民の差延化志向に対応する!:2017年10月8日】で述べたように、「差延化」という方法があります。
この「差延化」に供給側が対応していくには、【差延化戦略には5つの方法があった!:2016年12月31日】で述べているように、5つの方法があります。
①「私仕様」対応・・・ユーザー独自の注文に応えるもの。
②「参加」対応・・・ユーザーに7~8割程度の素材を提供するもの。
③「編集」対応・・・ユーザーの“自主編集権”を満足させるもの。
④「変換」対応・・・ユーザーが商品の用途を自由に変えられる要素を提供するもの。
⑤「手作り」対応・・・ユーザーに2~3割程度の素材を提供するもの。
②「参加」対応・・・ユーザーに7~8割程度の素材を提供するもの。
③「編集」対応・・・ユーザーの“自主編集権”を満足させるもの。
④「変換」対応・・・ユーザーが商品の用途を自由に変えられる要素を提供するもの。
⑤「手作り」対応・・・ユーザーに2~3割程度の素材を提供するもの。
5つの戦略は、①から⑤へと進むほど、ユーザーの差延化願望に対応するレベルが上がっていきます。
だが、①と③は「個効」と「私効」の妥協策ともいえる手法ですから、もし「私効」を本格的に支える商品やサービスを考えるのであれば、少なくとも②④⑤の手法を検討する必要があります。
つまり、新たなブランディングの第一歩は、次の3つの効用を提供できるような商品やサービスを新たに創り出すことだ、と思います。
第1は「参加」対応として、ユーザーの自作向けに7~8割程度完成した素材を提供すること。例えば、最後の仕上げはユーザー自身で可能なスーツ素材、仕上げはユーザーが行うキット家具セット、ユーザーが自由に設計できるプレハブ住宅やログハウスなどをブランド化することです。
第2は「変換」対応として、ユーザーが商品の用途を自由に変えられるような商品を創造すること。例えば、用途が多様化できるポケットベルや、総合保管庫に代えられる冷蔵庫など、生活民が自由に用途を変換できるような商品をブランド化することです。
第3は「手作り」対応として、ユーザーの“自作”行動向けに、2~3割程度完成した素材を商品化すること。例えば、ユーザーが手作りで醸造できるビールの素材、自由にインテリアを装飾できるデコラティブ・ペインティング素材、自由に個人手配のできる海外旅行サービスなど、手作りを促進する商品・サービスであることそのもののブランド化です。
以上のように、生活民の「差延化」志向に対応していくブランディングとは、完成した商品やサービスの次元を大きく超えて、「私効」達成のための素材や半製品そのものをブランド化していくことだと思います。
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