生活意識や生活願望の発生源を、生活世界構造の3つの軸から考えてきました。
3つの軸によって、私たちの生活空間の全体が浮かび上がってきますので、これをうけて、生活学・新原論の3番めは、「生活世界構造」そのものについて考えていきます。
新原論の最も基本的な立場は、生活民の生きている空間が「言葉」によって作られているという視点です。
人間という生物は、言葉を持ったことにより、周りの環境世界を理解し、さまざまな形で対処していくことが可能になった、という立場からです。
言葉の持つ、基本的な特性を幾つかの機能に分けると、2番めの生活意識論で紹介したように、縦軸、横軸、前後軸の3つが浮かんできます。
①縦軸:感覚⇔観念の軸
【生活心理を考える・・・意識としての生活世界構造】で述べたように、人間が言葉を使うようになったことで、意識の中に【身分け・識分け・言分け・網分け】の4分けが生まれ、それによって心の中には【ソト界(未知界)~モノ界(認知界)~モノコト界(識知界)~コト界(言知界)~アミ界(理知界)】の5つの心理的世界が生まれてきます。 それぞれの世界で使われる言葉もまた【言語6階層説】で述べたように、【深層言語・象徴言語・自然言語・交信言語・思考言語・観念言語】に分かれてきます。 大きな階層としてまとめると、【象徴言語・交信言語・観念言語】の3階層です。 |
②横軸:個人⇔社会の軸
【横軸の構造】で述べたとおり、言葉という人工物が持っている、本質的な構造によって、【ラング界・パロール1界・パロール2界】の3つが生まれ、それによって生活空間には【社会界・間人界・個人界】が生まれてきます。 それぞれの世界で使われる言葉もまた【ラング・パロール1・パロール2】に分かれますので、言語階層としては【独考言語・日常言語・交流言語】の3つが浮かんできます。 |
③前後軸:真実⇔虚構の軸
【前後軸が作る3つの生活願望】で述べましたが、言葉に潜んでいる【メタ・メッセージ】機能によって、言葉の示す空間は【真実界・曖昧界・虚構界】の3つに分かれてきます。 これに伴って、3つの世界で使われる言葉も【真言・常言・虚言】の3階層に分かれてきます。 |
言葉が創り出す、以上のような3つの軸によって、私たちの生活世界は図に示したような立体構造となっています。