言語3階層説の視点から、科学用語の未来を考えています。
科学で使われている用語は、現代社会の思考・観念言語の基盤となっていますが、パンデミックや気候変動への対応などで、その限界が見え始めています。
この状況を乗り越え、言語機能のより高い次元を目ざすことはできないのでしょうか。
人類の環境認識史を、5つの人口波動を創り出してきた時代識知、つまりDynamism、Animism、Mythology、Religion、Scienceという流れから考察すると、Scienceの次の方向を予測し、そこで使われる用語の方向を読み取ることも不可能ではないと思います。
すなわち、石器前波では「Dynamism:生命力」が、石器後波では「Animism:霊魂力」が、農業前波では「Mythology:神話」が、農業後波では「Religion:宗教」が、そして工業現波では「Science:科学」という識知が、それぞれの時代の文明をリードし、5つの人口容量を創り出してきた、と推察されます【5つの時代識知は世界をいかに認識してきたのか?】。
これを見ると、石器前波から石器後波への識知移行には、万物に潜んでいる、さまざまな「Dynamism:生命力」を、新たに「Animism:霊魂力」という観念によって統合化しようとする動きが見られました。
また農業前波と農業後波の識知間には、さまざまな神々が登場する「Mythology:神話」を、中核神の登場によって体系化しようとする「Religion:宗教」へと、改めて統合する動きが見られました。
要するに時代識知の流れには、前波では多様化・分散化・分析化という傾向が、後波では集中化・統一化・統合化というトレンドが、それぞれ読み取れます。
こうしたトレンドに乗れば、現代社会の工業現波をリードしている「Science:科学」についても、【ル・ルネサンスの要件・・・人口波動の流れで読む!】で述べたように、次の識知が予想できます。
現在の波動を工業“前”波と理解すれば、これに続く工業“後”波の時代には、「Science:科学」という識知もまた、多様化・分散化・分析化から集約化・統一化・統合化へ変化していくのでは、ということです。
その時、科学用語に求められる条件は、いかなるものになるでしょうか。
すでに【ル・ルネサンスは集約・統合的科学をめざす!】で述べていますが、大局的に考えると、次の3つがあがってきます。
➀分節化から合節化へ ②数値絶対化から数値相対化へ ③システム化からストラクチャー化へ |
詳しくは徐々に述べていきますが、要するに、次の時代の科学用語には、誰もが疑っていないような現代科学技術の基底論理、そのものの見直しが求められるのでしょう。
そして、それがより次元の高い科学用語となって世の中に浸透する時、次の人口波動、つまり工業“後”波が始動するのです。
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