「Science:科学」という識知もまた、多様化・分散化・分析化から集約化・統一化・統合化へ変化していくのでは、と展望してきました。
その時、科学用語に求められる条件として、➀分節化から合節化へ、②数値絶対化から数値相対化へ、③システム化からストラクチャー化へ、を挙げてきました。
まずは「分節化から合節化へ」について。
すでに【ル・ルネサンスは集約・統合的科学をめざす!】で述べていますが、今後の大転換期に、時代識知を集約化・統一化・統合化へと向かわせるためには、言語を使う、最も基本的な方向として、対象を区分けして理解することから、分けられた対象を合わせて理解する方向へと、その重心を移していくことが求められると思います。
それゆえ、日常言語においても、新たな“合節化”を検討しなければなりません。
言分けで得られたコト(言葉)をどのように組み合わせて、新たなコトをいかに創り出していくか、という方向へ思考の動きを移していく、という意味です。
そうなると、観念言語である科学用語についても“合節化”に相当する“接合化”が必要になってくるでしょう。
科学用語もまた、識知された対象を“言語化”によって理知化する手段の一つです。
しかし、その方法は、【「ことしり」から「ことわり」へ!】で述べたように、日常・交信言語の「言分け」法を超えて、思考・観念言語の「網分け」法によっています。
日常言語の包括的分節という把握方法ではなく、網状的拠点によって対象を要点として捉える、という把握方法です。
いいかえれば、対象の全体を捉えるのではなく、対象の要点を組み合わせて全体像を把握するという方法です。
両者の具体例を挙げてみましょう。
◆日常言語
①「みず」という記号で流体物という対象を他の対象から“分節化”しています。 ②「ま」という記号で真実という対象を偽物という対象から“分節化”しています。 ③「ま」+「みず」を“合節化”することで「まみず(混じり気のない水)」を表現しています。 |
◆科学用語
①「H」という記号で「水素」という対象を他の対象から“限定化”しています。 ②「O」という記号で「酸素」という対象を他の対象から“限定化”しています。 ③「H」+「O」を“接合化”することで「H₂O」を表現しています。 |
以上のような構造を前提にすると、日常言語ではさらなる合節化としては、「し(すみず:澄んだ)」という言葉を加え、「ましみず(混じり気のない、清らかに澄んだ水)」といった表現が考えられます。
これを科学用語で表現しようとすると、網目から漏れた「ま」や「し」の対象を新たな化学記号を使っておおまかに表現することになるでしょう。
だが、本格的、全面的な表現となると、ほぼ不可能です。
とすれば、科学用語と日常言語との接合化という方向が、新たに求められるのではないでしょうか。
上図で言えば、文節化された面と限定化された点を巧みに結びつけるという方向です。
科学用語の正確性や単純性を活かしつつ、日常言語との統合を新たに検討する時代に入ったのです。
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