コンデンシング・ライフにおける「差別化」行動は、モノ界や個人界の比重増加に影響を受けつつ、真実界と虚構界の濃縮化にも対応して、その重心を生活構造の左下へ移していく、と述べてきました。
生活民の生活構造では、基本的な3軸の交差する中心部分、つまりモノコト界、間人界、日常界が重なる中心空間こそ、私たち個々人が毎日、リアルな生活を営んでいる生活空間です。
この空間を下図に示したように、「実存界」と名づけると、差別化とはこの世界における選択行動ということになります。
つまり、実存界における選択行動とは、モノコト界、間人界、日常界の3つの特性を維持しつつ、さらにそれらを統合化したものになるはずです。
具体的に考えてみましょう。
①縦軸上での差別化行動 生活行動全般の下降志向(差異化→差別化→差元化)に影響されて、差別化行動もまた、有名ブランド衣料から作業服系衣料へ、ブランド食品から調理簡単食品へ、超高層ブランドマンションから高利便低層マンションへ、と向かっていきます。 ②横軸上での差別化行動 生活行動全般の左傾志向(差汎化→差別化→差延化)に影響されて、差別化行動もまた、既製スーツから組み替え可能スーツへ、味覚完璧ビールから混ぜ合わせ可能ビールへ、戸建て完成住宅から自由設計プレハブ住宅へ、と向かっていきます。 ③前後軸上での差別化行動 生活行動全般の中心志向(差真化→差別化←差戯化)に影響されて、差別化行動もまた、大仰な有名大学望から身の丈タイプ大学志望へ、生涯一度の豪華絢爛型旅行から日常的毎月旅行へ、と向かっていきます。 ④統合化された差別化行動 縦軸上の差元化志向、横軸上の差延化志向、前後軸上の集中志向に影響されて、実存界での差別化行動は、独立自尊、自給自足的な傾向を強めていくことが予想されます。 |
要するに、人口減少時代における生活民の差別化行動とは、平常生活の基盤となって、膨張・拡大型の生活からいち早く抜け出し、新たに飽和・濃密型のライフスタイルを構築しようとしているものだ、ともいえるでしょう。
その意味では、実存界での差別化行動こそ、コンデンシング・ライフの典型なのかもしれません。
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