2018年7月20日金曜日

「価値」と「効用」・・・大和言葉で考える!

これまでの流れをちょっと整理しておきます。

大和言葉で「ねうち(有用性)と「あたひ(相当性)に分かれていた「ありがたみ」という観念は、仏教や西欧思想の流入によって「價値(価値)という翻訳語に吸収され、「有用性+相当性」の二義性を持ったまま、現代日本語の中へ定着しています。

このうち、現代の経済学で使われている「価値」については、客観価値説と主観価値説でその内容が幾分異なっています。

客観価値説では、「価値(value)という言葉に「効用(utility)と「購買力(power of purchasing other goods」の2つの意味を含め、前者を「使用価値(value in use)」、後者を「交換価値(value in exchange」と名づけています(A.スミス)。

主観価値説では、「効用(utility)を「人間の要求から生じる物の状況」と定義したうえで、「使用価値」を「全部効用」、交換価値を「購買力」、そして両者の間で動く有用性の変化を「最終効用度」と、3つに分けています(W.S.ジェヴォンズ)。

両者の関係は、交換価値=購買力使用価値=全部効用+最終効用度ということになるでしょう。



漢字の「價値」と比較してみると、「」が交換価値であり、「」が使用価値または効用ということになります

大和言葉と比較すると、「あたひ」=交換価値、「ねうち」=使用価値、「ききめ」=効用 ということになるでしょう。「ねうち」(使用価値)と「ききめ」(効用)の関係は、客観的な有用性と一人一人の主観的な有用性の違いということになります。

以上の諸関係を、当ブログ、「生活民マテリアリング(LC-Materialing)」の立場で整理するとききめ」=主観的な「効用」をベースとしつつ、客観的な「使用価値」=「ねうち」に対応していかなければならない、ということになるでしょう。

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