生活行動論の7番めは「差識化」行動です。
差識化とは、【生活学・新原論Ⅴ:生活行動…7つを考える!】で述べたように、生活世界の中央の「日欲」を構成する3つの生活願望、つまり「欲求」「実欲」「常欲」が“認識”する、さまざまな有用性の中から、個人的に必要な「ききめ」を判断し、それらを求める生活行動です。
これまで6つの生活行動を、【生活体マンダラ・立方界を提案する!】で述べた、3つの願望の軸、つまり【欲望・欲求・欲動】【私欲・実欲・世欲】【真欲・常欲・虚欲】をクロスさせた、3×3×3の立方体で説明してきました。
このうち、差異化行動は上部の、差元化行動は下部の、差延化行動は左側の、差汎化行動は右側の、差真化行動は奥側の、差戯化行動は前側の、それぞれ9つの行動を26の行動にまとめて考察してきました。
となると、9×3=27からマイナス1、丁度ど真ん中に当たる立方体の部分だけが残っています。
これらの行動を「差識化」行動と名づけますが、差識化とは上記で述べたように、「欲求」「実欲」「常欲」が“認識”する、さまざまな有用性の中から、個人的に必要な「ききめ」を判断し、それらを求める生活行動といえるでしょう。
それゆえ、差識化行動は【生活願望・3つの軸から生まれる】で解説した【欲求・実欲・常欲】の3つの願望の内容を前提にすると、次のように説明できます。
➀欲求行動・・・無意識的な次元の動物的、衝動的な「欲動」と、さまざまな「記号」の刺激から生まれる「欲望」の間に合って、生理的、生物学的な不足状態を解消しようとする生活行動です。 例えば、咽喉が乾いたから水を飲む、腹が空いたからパンを食う、寒くなったからコートを着るなど、一人ひとりの身体の中で「欠如」してくるものを補おうとする生活行動です。 ➁実欲行動・・・・世間的な評価を手に入れたいと思う「世欲」と、他人にどういわれようと純私的に満足したいと思う「私欲」の間で、家事、就業、寝食など日常的な生活の中に、実効的な効果や成果を得ようとする生活行動です。 例えば、炊事、洗濯、掃除、作業、業務活動など、社会的名望や純私的な満足を遠ざけた生活行動をさします。 ➂常欲行動・・・言葉の示す目標へ自らを律する「真欲」と、目標を緩めて遊びや解放を味わう「虚欲」の間に合って、虚実を振り分けつつ日々の暮らしを実現しようとする生活行動です。 例えば、日常的な生活習慣で暮らすこと、曖昧な言葉遣いを気にせず会話することなど、厳しさも面白さもスルーする生活行動です。 |
以上に挙げた3行動、つまり「欲求」「実欲」「常欲」を求める、さまざまな行動が多様にミックスした次元、これこそ、私たちが日常的に営んでいる生活行動の実態といえるでしょう。