2024年7月26日金曜日

生活願望・3つの軸から生まれる

生活学・新原論の3番めのテーマとして、「言語」をベースとする生活世界構造を、3つの軸から考えてきました。

今回からは、4番めのテーマとして、生活民が心に抱く、さまざまな願望、つまり「生活願望」の構造を、やはり3つの軸から考えてみます。

すでに前回までの生活世界構造論で、横軸、前後軸については触れていますので、それらを要約したうえ、縦軸を加えて、生活願望の全体図を描いてみましょう。

 

横軸・・・【生活心理を横軸で考える!】で示したように、3つの願望が生まれてきます。

言語構造の横軸は【ラングパロール1パロール2】で構成され、【社会界間人界個人界】の3つの世界を創り出しています。この3世界から生まれる生活願望が【世欲⇔実欲⇔私欲】の3つです(横軸が作る3つの生活願望・・・世欲・実欲・私欲)。

世欲・・・社会的な地位や経済的な成功など、世間的な評価を手に入れたいと思う生活願望

実欲・・・家事、就業、勉強など日常的な生活の中で、実効的な効果や成果を得たいと思う生活願望

私欲・・・自省や内省など自分自身との交信の中で、他人に何といわれようとも、純私的に満足したいと思う生活願望

 

前後軸・・・【生活心理・前後軸から考える!】で述べたように、3つの願望が生まれてきます。

言語構造の前後軸は【言葉は真実言葉は曖昧言葉は虚構】で構成され、【真実界日常界虚構界】の3つの世界を創り出しています。この3世界から生まれる生活願望が【真欲常欲虚欲】の3つです。

真欲・・・言葉の示すものを目標に、自らの行動を厳しく律していこうとする生活願望。

常欲・・・真実と虚構が揺らめく日常界で、両者を振り分けつつ、日々の暮らしを実現しようとする生活願望。

虚欲・・・言葉の示す目標を緩め、自らも弛緩させて、遊びや解放を味わおうとする生活願望。


縦軸・・・【生活心理を考える・・・意識としての生活世界構造】で示したように、3つの願望が潜んでいます。

言語構造の縦軸は【身分け分け分け】で構成され、【モノ界モノコト界コト界】の3つの世界を創り出しています。この3世界から生まれる生活願望が【欲動欲求欲望】の3つです。

欲動(drive・・・意識の下の無意識的な次元で、生死の区別や善悪の分割など日常的な評価基準をはるかに超えた、動物的、衝動的な生活願望。

欲求(want・・・のどが乾いたから水が欲しい、空腹を覚えたから食べ物が欲しい、寒くなったから衣類が欲しいなど、生理的、生物学的な不足状態を意識がとらえた生活願望。

欲望(desire・・・雑誌で見た車が欲しい、テレビで見たファッションが着たいなど、人間が言葉を持ったが故に、「記号」の刺激を受けて、誘導的に生まれてくる生活願望。

 

3つの軸に現れた生活願望を纏めてみると、【生活世界の言語構造】の図が、下図のような【生活願望の7球】として描くことができます。

中央の球、つまり日常的な世界では、欲求、実欲、常欲の3つが重なっていますので、これらを纏めて、「日欲(日常欲)」と名づけました。

日欲とは、欲求をベースに実効性や虚実を共に求める願望、ともいえるでしょう。

以上のように整理すると、私たちの生活願望は、図に示したような、7つの球で表現できます。



なお、生活願望の全体図については【七つの生活願望とは何か?】でも、詳述しています。