言語3階層(思考・観念言語、日常・交信言語、深層・象徴言語)と、言語形態(音声言語、文字言語、表象記号)の関係を考えています。
前回は深層・象徴言語と音声言語の関係を取り上げましたので、今回は視覚言語(文字言語と表象記号)を取り上げます。
視覚言語とは、どのような言葉をいうのでしょうか。さまざまな定義や種類があるようですので、先達各位のさまざまな見解を参考にしつつ、改めて整理してみました。
1.表音文字(phonogram)
一字が音節または音素を表し、「意味」には対応しない文字体系。下記の表語文字が一つの文字で一つの「意味」を示すのに対し、表音文字は2つ以上に繋がった文字で一つの「意味」を示すケースが多いようです。
1-1.音節文字(syllabary)・・・一字が一音節(単音または連続単音)を表わす文字。例:日本語の仮名(ア、あ)。 1-2.音素文字(segmental script)・・・一字が音素(母音と子音の組み合わせ)を表わす文字。例:ローマ字(A、B)、ギリシア文字(α、β)。 |
2.表意文字(ideogram)
一字が一つの「意味」を表わす文字体系。一つ一つの文字が明確に「意味」を表していますが、聴覚的な発音との結びつきが薄い体系です。
2-1.表語文字(logogram)・・・一字が発音と「意味」を同時に表している文字。この文字の多くは、象形文字(言葉と文字と意味が一対の対応)が起源となっています。例:中国語の漢字(火、山、川)、アラビア数字(1, 2, 3)。 2-2.象形文字(hieroglyph)・・・モノの形を象った記号で「意味」を表す文字。この文字は、3で述べる絵文字(言葉よりもモノ自体を表すイメージ)から発展したものと考えられています。例:ヒエログリフ(神聖文字=古代エジプト文字)。 |
3.絵文字(pictogram)
モノを描いた形状で、モノの「意味」する想念・観念を表示する記号。
3-1.記号文字(signal character)・・・一つのイメージによって、それに類似した、特定の「意味」を表す記号。文字という記号を使用せず、イメージそのものから想起される「意味」を表しています。例:東京2020オリピック・パラリンピックスポーツピクトグラム。 3-2.象徴文字(symbolic character)・・・一つのイメージによって、抽象的な「意味」を表す記号。「識分け」から漏れた「身分け」次元の想念を、言葉になる以前のイメージで表わすものです。例:元型(アーキタイプ)、宗教印、国旗。 |
以上のように、文字や記号とは、聴覚的な「言語」や識知的な観念を、視覚的に表現しようとする、人類の発明ですが、それがゆえに深層・象徴言語とも密接な関りを持っています。
いかなる関係なのか、次回で探ってみましょう。
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