2019年8月20日火曜日

ファミレスからパソレスへ!

16年前に筆者が予言した現象がいよいよ始まった、と思われる記事が日本経済新聞に掲載されましたので、ポスト消費論や統合社会論を中断し、この件をについて一言触れておきます。

16年前、まさに全盛時代だったファミレスの将来について、筆者は『
人口減少社会のマーケティング・・・新市場を創る9つの消費行動』(古田隆彦著、生産性出版、2003年7月刊)の中で、次のように予言しています。

70年代から続いてきた「ファミリーレストラン」という名称は、まもなく消えていくだろう。代わって「シングルレストラン」や「ディンクスレストラン」といった、新たな外食形態が拡大してくる。

家族の拡大によって、外食市場ではすでに、従来の「ファミレス(ファミリーレストラン)」から「ファミレス(ファミリーがなくなる)が進み始めている。

その9年後、「週刊現代」(2012年02月20日号)の特集「経済の死角」にも、筆者は
次のような展望を載せています。

ファミレスは3世代家族や子どものいる核家族をターゲットとして生まれたが、そのような世帯は全体の4割を切るまで減ったと見られる。

代わりに増えたのが単身者や独居老人で、ファミリーを対象にした形態やメニューではやっていけない。すでに衰退期に入った業態といえる。

これらの予言がいよいよ当たり始めました。

2019年8月17日、日本経済新聞夕刊1面に、次のような記事が掲載されています。


ファミレス「個客」歓迎・・・電源・ついたて・・・1人席充実 単身世帯増 取り込み競う


要旨は次のようなものです。

外食各社が「お一人様」の取り込みに本腰を入れる。

ファミリーレストラン「ガスト」は、席の両側についたてを配置し、電源を備えた1人席を拡大する。

定食店「大戸屋ごはん処」は1人でも快適に食事できる新型店を開業した。

単身世帯の増加が続くなか、従来はファミリー層の利用が多かった飲食店でも「個客」の取り込みが急務になっている。

ファミレスや焼き肉など家族層の利用が多かった飲食チェーンが「個客」向けの店舗を増やしているのは、単身世帯の需要を取り込むためだ。


国立社会保障・人口問題研究所によると、20年の総世帯数のうち単身世帯は36%となる見通しで、今後も増加するとみられている。

今さら、という感じもなきにしもあらずですが、もう一歩踏み込んで、「ファミレス」から「パソレス(パーソナル・レストラン)」など、業態ネーミングの変更動向にまで触れてほしかった、とも思います。

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