2019年2月9日土曜日

変換・・・差延化行動の極致!

生活民の差延化行動の2つめは「変換」。これこそ、差延化」行動の極致といえるものです。

現代社会に生きる生活民は、ほとんどの生活財を市場から購入し、「共効」を「個効」として、それぞれの暮らしを作り上げています。

しかし、生活民の中には既存市場で流通する商品の「共効」をほとんど認めず、市場から既製品を購入はするものの、既存の用途「個効」としては使用せず、それを大きく「変換」して、自らの「私効」を実現する人たちが増えています。

すでに
「変換」・・・生活民マーケティングの神髄!2017年2月13日】で紹介していますが、代表的な事例は次のようなものです。

100均商品(100円ショップの商品・・・コーヒーフィルターをリースやランプシェードに、ザルを壁掛け時計に、ステンドグラスオーナメントを窓枠風インテリアに、焼き網をウォールシェルフに、フォトフレームをガラスケースに、100円手ぬぐいを子ども服に・・・などなど、生活民はすでにさまざまな転換を実現しています。

工業・工作用のマスキングテープ・・さまざまに変換されています。壁紙、写真フレーム、窓飾りなどのインテリア化は勿論、メガネフレーム、ブローチ、折り紙ネックレスなどのアクセサリー化、ギフトラッピング、グリーティングカードなどの交際グッズ化というように、多様な変換事例が生み出されています。

風呂敷・・・さまざまな使用法が生み出されています。粋なデザインが描かれていますから、壁掛けやテーブルクロスにもなりますし、ネッカチーフとしても使えます。

冷蔵庫・・・真夏に独身女性がどのように冷蔵庫を使っているのか、アンケート調査では食品しか上がってきませんが、実際に写真を撮ってみると、食品以外に化粧水、薬品、ビニール袋に入れた通帳や現金、新品のパンティストッキングも入っています。ストッキングは、一度冷凍すると伝染しにくくなるからです。


また冷凍庫には生ごみ入っています。1週間単位で生活していると、毎日は捨てられないので、腐臭を避けるために冷凍してしまうからです。

さらに先端的な事例は、緊急時のために冷蔵庫へ入れておく救急医療情報キット「
命のバトンでしょう。

とすれば、冷蔵庫は必ずしも食べ物を保存するだけのものではない。生活民はむしろ総合保管庫、あるいは総合ごみ箱に変換しているのです。 

以上の事例の中で、冷蔵庫のケースを考えると、本来の「ねうち」は食品や飲料を冷却保存すること(共効)であり、多くの消費者はそれに従ってさまざまな食品を保存しています(個効=ききめ1)。

ところが、独創的な生活民の中には、薬品や化粧水、あるいは銀行通帳や現金など、さらには緊急時用の「命のバトン」を保存するという保管機能(私効=ききめ2)を実現する者もいます。

こうしたユニークな使用法が広がると、「私効」がやがて「個効」に変わり、ついには「共効」となっていきます。



言語行動において、「ヤバイ=危ない」というラングが、一部の若者の間で「ヤバイ=すごい」(パロール1)から「ヤバイ=カッコイイ」(パロール2)へと“差延化”されているうちに、ついには「ヤバイ=感動的」(ラング)となってしまったことと同じなのです。

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