生誕200年でK.マルクスに注目が集まっています。
マルクスは商品の“価値”をどのように考えていたのでしょうか。
リカードの「投下労働価値」説を引き継いだマルクスは、その著『資本論』(Critique of Political Economy,1867~1894)で、次のように述べています(要旨)。
➀商品の価値には「使用価値(use-value)」と「交換価値(exchange-value)」がある。
②「使用価値」とは「人間の欲望をみたすもの」あるいは「人間が、その活動によって自然素材の形を人間に有用なように変える」ものである。
③使用価値は、あくまで潜在的なものであって、本物の「価値」ではなく、いわば「価値」の“素材”であり、それが他の物との交換可能性を生じて「交換価値」となった時、初めて本物の「価値」になる。
④空気、処女地、自然の草地や樹木などの自然物、あるいは自家消費用の生産物など明らかに「使用価値」を持つが、交換の対象とならない限り、本物の「価値」を持つことはない。
⑤それゆえ、「商品の交換こそが、商品を互いに価値として関係させ、価値として実現するのである」から、「商品は使用価値として実現される以前に、価値として実現されなければならない」のである。
⑥「価値を作り出す実体は、その物に込められた労働の量である」から、商品の交換価値は労働力によって決まる。
⑦賃銀と交換されるのは労働ではなく労働力であり、労働力の価値の補填分を越えて労働が生み出す価値が「剰余価値(surplus-value)」である。
以上のように、マルクスは「使用価値×交換価値」論の延長線上に、労働価値説に基づく「剰余価値」をおいて、これこそ「価値」の本質だ、と主張しています。
当ブログの立場でいえば、「ねうち=有用性=使用価値」と「あたひ=均等性=相当性=交換価値」を分けたうえで、「相当性=あたひ」の方に比重をかけ、「あたひ」の本質を考察した、といもいえるでしょう。
「ねうち=有用性=使用価値」の方は「商品学に任せる」などとまで述べていますが、新たな経済学は間もなくその周辺から始まってきます。
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