2016年10月29日土曜日

生活構造の中核とは・・・

生活民の生活構造の中核は、縦・横・前後の3軸が交わる中心部において、毎日営まれている「日常・平常」な生活です。

生活構造の中核というと、「表層から内層へ」「外界から内界へ」と、求心的に絞り込まれた中心部と考えがちですが、私たちの日常生活は必ずしもそのような形で営まれているのではありません。

体感や感性の世界と記号や言語の世界を柔軟に行き交い、私的で個人的な世界と集団や社会的な世界を自由に飛び交い、さらには儀礼と虚構の間でリアルを体験しています。

つまり、生活構造とは求心=内向的なものというより、開放=外向的なものというべきでしょう

それゆえ、【「生活体」の3つの軸(2015年2月24日)】で述べたように、生活構造とは、感覚・言語軸、個人・社会軸、真摯・虚構軸という、3つの軸の交差体であり、その中核とは3軸の交点だ、と考えるべきです。

となると、社会経済学の「生活者」の条件である「自己生産を基本にする」ことや、それを継承して、【
USマーケティング宣言(2016年8月18日)】に取り入れた「⑨生活民がそれぞれの生活を営んでいくうえで、自給行動を基礎にしつつ、外側に広がる市場をいかに利用するべきか、を考えます」という項目もまた、「自己生産や自給行動を中心におく」ことを意味するのではなく、「他者生産や受給行動との接点で考える」ことを示しています。

生活民の生活構造とは、3軸の交差点を中心にしつつ、広大な空間の中へどこまでも伸びていく、開放的なもといえるでしょう。

2016年10月25日火曜日

「生活民」の生活構造とは・・・

生活民」は、生活学の「生活人」や社会経済学の「生活者」を継承しつつ、両者が排除した「伝統や慣習、あるいは流行を追い求める生活行動」や、「気晴らしや見せびらかしなどを求める願望次元」なども吸収した、より柔軟な人間像です。

こうした人間像のより詳細なイメージについては、すでに以下のタイトルなどで具体的に述べてきました。

「生活体」を提唱する!(2015年2月23日)
「生活体」の3つの軸(2015年2月24日)
生活構造の縦と横(2015年2月25日)
縦軸の構造・・・「身分け」と「言分け」(2015年2月26日)
縦軸が生み出す3つの生活願望・・・欲動・欲求・欲望(2015年3月4日)
横軸の構造・・・ラングとパロール(2015年3月6日)
横軸が作る3つの生活願望・・・世欲・実欲・私欲(2015年3月9日)
前後軸が作るメタメッセージの世界(2015年3月12日)
前後軸が作る3つの生活願望・・・真欲・常欲・虚欲(2015年3月13日)
これが生活体だ!(2015年3月19日)

このような「生活体」は、まさしく「生活民」の生活構造を表しています。



ポイントは以下の5点です。


① 生活民の生活構造は3つの軸から構成されています。

② 縦軸では「観念・理想」とともに「伝統・慣習」が含まれています。

③ 横軸では「自給自足・自己満足」とともに「流行・見せびらかし」を含まれています。

④ 前後軸では「学習・訓練」とともに「気晴らし・遊戯・弛緩」を含まれています。

⑤ 3つの軸が交わる中心として、「日常・平常」な生活が位置づけられています。

以上のように、「生活民」とは、日常・平常な行動を中心としつつ、感覚や伝統、観念や理想、自足や自己愛、流行や権威、学習や訓練、遊戯や弛緩などをも包含する、幅広く柔軟な人間像だといえるでしょう。

2016年10月13日木曜日

「生活民」とはどんな人?

生活民」とは、生活の主体である人間像を、生活学の「生活人」や社会経済学の「生活者」を継承しつつ、より統合化したコンセプトです。

具体的にいえば、次のような特徴があります。



①「生活人」からは、「美学や哲学などの次元にまで幅を広げた、より総合的な人間像」を継承しています。

②「生活者」からは、「営利主義の対象である“消費者”を抑制する」ことや「自己生産を基本にする」ことを継承しています。

③その一方で、「生活人」が否定した「伝統や慣習、あるいは流行を追い求める生活行動」や、「生活者」が排除した「気晴らしや見せびらかしなどを求める願望次元」なども積極的に肯定し、両方とも含めた人間像をめざします。

④生活の主体を、市場社会のユーザーの立場を超えて、市場の成立以前から存在した、自立的な人間におきます。

⑤こうした視点から、庶民、市民、人民、公民、国民などに共通する「民」の視点を再評価し、「生活民」と名付けます。

以上のように、このブログでは今後、「生活民」という言葉を使いますが、それはこれまで述べてきた「生活体」や「生活球」の視点を否定するものではなく、それぞれを統合化した人間像ともいえるでしょう。