2015年4月27日月曜日

生活願望は7つに分かれる!

私たちの生活願望は、欲望・欲求・欲動、世欲・実欲・私欲、真欲・常欲・虚欲の9つに整理できます。
 
これらを生活球の中に位置づけると、欲求・実欲・常欲の3つは、丁度真ん中にある平常球の中でクロスし、最も日常的な生活願望となっています。そこで、この3つをまとめて「日欲」と名づけます。
 
すると、私たちの生活願望は、日欲を中心として、欲望、欲動、世欲、私欲、真欲、虚欲の6つの願望が放射状に広がっており、合計7つにまとめることができます。これら7つの特徴を整理すると、次のように説明できます。
 
  1. 真ん中日欲は、言語と感覚の、社会と個人の、真実と虚構の、ちょうど中央あたりで営まれている、日々の生活上のさまざまな願望(欲求・実欲・常欲の複合化)を意味しています。
  2. 縦軸では、欲望が言語・記号・意識などを求める一方、欲動が感覚・象徴・無意識などを希求しています。
  3. 横軸では、世欲が社会・価値・同調などを求める一方、私欲が個人・私効(私的効用)・愛着などへ関心を広げています。
  4. 前後軸では、真欲が真実・儀礼・緊張などを求める一方、虚欲が虚構・遊戯・弛緩などへも走り出しています。
 
以上を整理してみると、下表のようになります。


これら7つの生活願望は、ヒトがヒトとして生きていくための、最も基本的な構造であり、原始社会でも未来社会でもさほど変わるものではありません。時代や場所によって、願望の形や向け先が変わったかに見えることがあっても、基本的には変わらず、それぞれの本質はこれら7つの位置に方向づけられています。 

2015年4月20日月曜日

生活構造から生活願望が生まれる!

生活学マーケティングを具体的に展開していくには、「生活者が今、何を求めているのか」という「生活願望」の中味や方向を的確に把握することが必要です。

さまざまな生活願望は、いうまでもなく、これまで述べてきた「生活体」という生活構造の中から発生してきます。


個々の願望については、生活体を構成する、3つの軸を説明する中で一通り述べてきましたので、以下では、生活体の構造と比較しながら、生活願望の種類や中味を今一度整理しておきましょう。

●縦軸の感覚界・認知界・言語界からは、欲動・欲求・欲望の3つが生まれてきます。

●横軸の社会界・間人界・個人界からは、世欲・実欲・私欲の3つが浮かんできます。

●前後軸の儀礼界・日常界・遊戯界からは、真欲・常欲・虚欲の3つが生まれてきます。

生活の構造から抽出すると、生活願望の構造は、下図のようになります。





生活の構造から抽出すると、生活願望の構造は、下図のようになります。
 
 
 

生活願望のそれぞれの動きを知るためには、生活構造に占める位置と特性を的確に把握することから始めなければなりません。

2015年4月12日日曜日

生活界のしくみをイラスト化する!

これまで述べてきた生活界の構造を、「生活球のしくみ」として、イラストで表現してみましょう。

①私たち人間は、広大な天地、悠久の大地という自然環境の中に放り出されています。この環境世界を、私たちは人間に備わった生理的な〈感覚〉と人為的な〈シンボル化能力〉の両方によって把握したうえで、積極的あるいは消極的に働きかけています。
 




②人間はまず、人間という〈種〉に備わっている〈感覚〉によって、周りの環境を「身分け」し、把握できる範囲での〈物界〉を〈モノ界〉として理解しています。続いて〈シンボル化能力〉、つまり〈言語能力〉によって、〈モノ界〉を「言分け」し、言語化できる世界を〈コト界〉として理解しています。このため、生活構造の上下は、〈感覚〉と〈言語〉を両極とする軸となります。




③言語が作りだす生活世界は、水平方向に広がる時、言葉によって他人や社会と交流する〈社会界〉と、言葉によって自分自身と語り合う〈個人界〉を両極として、両者の間で展開されています。







④言語が作りだす生活世界は、言葉自体の持つ機能の両面性によって前後に広がり、〈真実〉を表現する世界と、〈虚構〉を表す世界を両極として、両者の間で展開されています。






⑤私たちの通常の生活は、〈感覚〉と〈言語〉の間、〈社会〉と〈個人〉の間、〈真実〉と〈虚構〉の間にある〈認知〉〈間人〉〈日常〉のクロスする世界、つまり「日常界」あるいは「平常界」として営まれています。





逆にいえば、私たちの生活世界は、日常・平常界を中心にして、感覚界・言語界・社会界・個人界・真実界・虚構界の、6つの世界で構成されているといえるでしょう。


歌舞伎の代表的な演技である「六方」は、天・地・前・後・左・右の6つをさしていますが、それと同様に、私たちの生活世界にも日常・平常を中心として、その周りに6つの方向が潜んでいるのです。 

2015年4月6日月曜日

生活両界マンダラを提案する!

立方体である「生活体」と球体である「生活球」の関係は、密教の「両界曼荼羅」に擬することができます。

曼荼羅とは、密教のさまざまな教えを図化したもので、中央に大日如来を配し、その周辺に一定の秩序によって諸仏を位置づけています。基本的には「胎蔵界曼荼羅」と「金剛界曼荼羅」の2つで構成されており、両方を合わせて「両界曼荼羅」または「両部曼荼羅」とよんでいます。



















生活球と生活体は、丁度この関係に相当します。これこそ「生活両界マンダラ」です。

















それぞれの中心には、【間人・認知・日常】という生活要素による「平常球」や「日常界」が位置しており、いわば「大日如来」に相当します。

そして、生活球を平面化した生活球マンダラは「胎蔵界」に、生活体を平面化した生活体マンダラは「金剛界」に、それぞれ相当します。

密教思想を図解化したものが「両界曼荼羅」だとすれば、現代生活学の思想をイメージ化したものが「生活兩界マンダラ」といえるでしょう。

2015年4月1日水曜日

「生活体」から「生活球」へ

私たちの生活の構造は「生活体」という立法体でとらえることができますが、少し視点を変えると、「生活球」という球体でとらえることも可能です。


生活体マンダラの27界は、3つの軸の性格によって特定の要素が強まることを示しており、下図のような、小さな球の集まりとみなすこともできるからです。





 
私たちの生活の全体を、大きな球体である「生活球」と名づけると、真ん中の“核”の部分は、言語・感覚軸、社会・個人軸、真実・虚構軸のそれぞれの中間ですから、認知・間人・日常の要素の強い、日々の生活空間であり、「平常球」と名づけることができます。

つまり、この平常球では、垂直的には言語と感覚、意識と無意識の間、水平的には前後で外向と内向、社会と個人の間、また左右では真実と虚構、儀礼と遊戯の間の、それぞれのバランスを巧みにとりながら、具体的あるいは現実的な行動が行われています。

次に平常球の上側には、言語、意識、欲望、理性、観念、記号、物語などが生まれてくる「言語球」が、また下側には、感覚、無意識、欲動、感度、体感、象徴、神話などが生まれてくる「感覚球」が、それぞれ位置づけられます。

さらに日常球の前側には、社会、言語、文化、伝統、歴史、慣習、規範、法律、価値、同調などと交流する「社会球」と、また後ろ側には個人、自省、内省、日記、効能、愛着などと交わる「個人球」が、おのおの配置されています。

そして平常球界の右側には、真実、儀礼、緊張、勤勉、学習、訓練、節約、貯蓄などが通用している「儀礼球」を、左側には虚構、遊戯、弛緩、怠惰、遊興、放蕩、浪費、蕩尽などが行き交っている「遊戯球」を、それぞれ位置づけることができます。

要約すると、私たちの生活世界、つまり生活球は、真ん中の平常球を中心にして、言語球、感覚界、社会球、個人球、儀礼球、遊戯球の、七つの小球で構成されている、と考えることができます。