経済成長と人口の変化を振り返る

人減先進国としての日本の将来。･･･これを考える前提として、過去120年間、日本社会の変化と人口動態がいかに関わってきたのか、を確認しています。

前回の学歴に続き、今回は経済成長率＝実質GDP成長率と人口の増減率を振り返ってみましょう。

●実質GDP成長率の推移

①戦前の45年間（1900～45年）には、大きな変動幅を示しつつ、上昇を続けてきたものの、開戦によって39～40年には急落している。 ②戦後の30年間（1946～74年）は、戦後復興や朝鮮特需（1950～52年）で急上昇し、高度経済成長期（1955～73年）まで高水準を維持したものの、その後は急落している。 ③安定成長期（1974～99年）になると、再び上昇を回復したが、第2次オイルショック（1980年）、バブル景気崩壊（1980年代後半）、阪神・淡路大震災（1995年）、金融危機（1997年）などによって、再び低下していく。 ④最近の低成長期（2000～20年）でも2％内外の低成長を続けていたが、2008年のリーマン・ショックで急落し、その後は幾分もち直したものの、1～2％の低成長を続け、2020年のコロナショックに至っている。

●人口増減率の推移

①戦前の45年間（1900～45年）は、1.0～1.5％の増加を続けていたが、太平洋戦争（1940～45年）によって1945年には－3.1％まで低下している。 ②戦後の30年間（1946～74年）は、第1次ベビーブーム（1946～49年）で5.0％に始まって2.0％台に至る時期と、第2次ベビーブーム（1971～74年）で2.3％を記録した時期に挟まれ、ほぼ1.0～1.5％台を維持していた。 ③ポスト・ベビーブーム時代（1974～99年）は、1975年の1.2％から一貫して漸減し、99年の0.2％に至っている。 ④21世紀の減少期（2000～20年）は、2000年の0.2％から2010年の0％へと下がり、2011年からついに－0.2％のマイナス成長となって、2020年には－0.3％まで落ちている。

以上のような経済成長と人口増減の間には、どのような対応があるのでしょうか。

❶大局的に見ると、経済動向と人口増減には、大まかな相関関係が発見できる。 ❷戦前は経済成長率が大きく上下するにもかかわらず、人口動向は安定した伸び率を保っている。 ❸戦後の30年間（1946～74年）は、経済の安定的成長に支えられて、人口も２つのベビーブームを作り出し、継続的に増加している。 ❹1975年以降は、経済が安定的な成長から低成長へと変化するにつれて、人口増加も徐々に低下している。 ❺200年以降になると、経済の低い成長率に対応するように、人口もまた大きく停滞し、2011年からは増加から減少に至っている。

こうしてみると、当然のことながら、経済成長と人口動態はほぼ連動しており、経済的環境という人口容量の拡大と停滞が、人口の増加と減少を引き起こす、大きな要因の一つになっている、と言えるでしょう。