人減先進国としての日本の将来。それを考える前提として、過去100年間、人口増加時代の生活様式がいかに変わってきたのか、を確認しています。
前回の人口分布に続いて、今回は出生・死亡数の変化を振り返ってみましょう。
人口動態統計にとると、1900年以降、120年間の出生数、死亡数の推移は、下図のとおりです。(1944~46年は資料不備のため省略。1947~72年は沖縄県を含まない。)
①1900(明治23)年の142万人から、1941(昭和16)年の228万人まで増加した後、太平洋戦争による不明期となった。 ②戦後の1947∼48(昭和22~23)年には268万人、49(昭和24)年には270万人と最高値を示し、この3年間が第1次ベビーブーマー、団塊一世の誕生であった。 ③その後、1957(昭和32)年に157万人まで減少した後、再び増加に転じ、1972~74(昭和47~49)年には203~209万人と、第2次ベビーブーマー、団塊二世の誕生を示した。 ④以後は約20年間減少を続け、1993(平成5)年に119万人まで落ちた後、1994~96(平成6~8)年に120万人前後で、団塊3世を誕生させた。その後は徐々に減少となり、2000(平成12)年の119万人を経て、2020(令和2)年には84万人で120年間最低となった。 |
●死亡数の推移
①1900(明治23)年の91万人から増加し、1920(大正7)年のスペイン風邪で142万人のピークを示した後、1920~40(大正9~昭和15)年代に120~130万人へと推移した。 ②戦後は1947(昭和22)年の114万人から減り始め、1960~70(昭和35~55)年代は70万人前後を続けたものの、1980年代からは増え始め、1990(平成2)年に82万人、2000(平成12)年に96万人を経て、2003(平成15)年に101万人と100万人を越し、2020(令和2)年には137万人で120年間最大に達している。 |
120年間の変化を整理すると、次のようになります。
①出生数は1990年をベースとすると、49年に1.9倍、73年に1.5倍に達したが、85年には1.0倍となり、以降は減り続けて、2020年には0.6倍まで落ち、戦前戦後最低となっている。 ②死亡数も、1990年をベースとすると、20年1.6倍にまで増加したが、40年には1.3倍にまで低下した後、さらに減少を続け、1960~80年代には0.8倍となった。90年代に入ると反転し始め、1995年に1.0倍を超え、2020年には1.5倍と戦前1923年のレベルに戻っている。 ③大局的に見ると、出生数の推移は1949年をピークとする山型であり、死亡数の推移は1960年代をボトムとする谷型である。 ④こうした推移の結果、2005~2007年に死亡数が出生数を追い抜き、それ以後、日本人人口は減少過程に入っている。 |
以上のように見てくると、120年間の変化は、❶戦前(1900~1944年)の出生増加・死亡微増期、❷戦後回復時代(1945~1975年)の出生増加・死亡低位期、❸社会安定時代(1976~2020年)の出生減少・死亡増加期、の3段階に大別できそうです。
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