マーケティングを「脱構築(déconstruction)」する「外部転換」において、次の方向は「互酬制」への関係改善です。
従来の企業や市場経済システムは、互酬制を主導する家族や地縁社会など伝統的共同体との関わりについて、極力距離をおくばかりか、時には弱体化を進めてきました。
自給自足的な生産や地域内での物々交換は、圧倒的な市場交換制度によって圧倒され、徐々に縮小を余儀なくされてきたのです。
だが、過剰な市場交換を抑え、再配分・市場交換・互酬制のバランスのとれた複合社会が新たな社会目標になってくると、互酬制を再建し、市場交換制と望ましい関係を築くことが、新たな検討課題となってきています。
そこで、企業のマーケティング活動についても、次のような2つの方向が期待されるでしょう。
1つは、市民や住民など需要層のさまざまな生活需要に対して、市場経済制と互酬制がどのように分担していくか、それぞれの役割を検討することです。
それにはまず、近代的な再配分制度と市場交換制度の隘路にあって、ともすれば縮小しがちな互酬性をできるだけ見直し、現代社会に適合した制度として再構築することが必要です。
成熟した社会構造を築くためには、企業活動やマーケティングにも、新たな互酬制の拡大と定着を支援することが求められるのです。
2つめは、今後、実際に拡大が予想される、家族や地域社会のさまざまな互酬活動に対して、企業活動やマーケティングがどのように参加や支援を行なえるか、を検討していくことです。
それは表面的な利潤拡大行動を超えて、より本質的・永続的な企業生命を維持・拡大するための、新たな経営行動として位置づけられなければなりません。
例えば、相互扶助や安全・防災などの機能向上を応援する〝結縁〟支援活動、幼児の子守や老人向けの宅配などの保護拡大活動、あるいは祭りや会合などの開催を助ける祭事支援活動などは、住民や庶民の暮らしを守り、豊かにしていくための、新たな支援ビジネスとして期待されるものです。
今後の社会においては、企業のマーケティング活動にも、政府や地方自治体はもとより、家族や地域共同体に対しても、より強く手を携えていくことが期待されるのです。
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