生活民の差戯化行動は、言葉の持つ規範性を外そうとする行動(言語―感覚軸)と、言葉の虚構性に戯れようとする行動(個人―社会軸)の、2つに大別されます。
前者の、規範性を敢えて外そうとする行動には、日常生活での目標や規律を外した弛緩や緩和などが、また経済生活での節約や貯蓄を無視した浪費や乱費などが該当します。
2つの行動分野に対して、供給側からはこれまで、次のような戦略が行われてきました。
①弛緩・緩和行動に対する虚脱・混乱戦略・・・
陶酔、酩酊、トランポリンなど虚構空間の中で錯乱状態を求める「めまい」戦略を基盤に、温泉や気晴らし旅行など体感次元の発散を求める「虚脱」戦略や、遊園地やカーニバルなどの設備で集団的に虚脱空間を作りだす「混乱」戦略などです。
生活民がこれらの行動を求めるのは、固定した日常生活の枠組みを一旦外し、生まれたままの時点に立ち戻り、新たな視点からそれぞれの暮らしを再構築していこうとする願望のためです。
とすれば、関連する商品・サービスには、単純な弛緩・虚脱機能に加えて、柔軟かつ刺激的な再生・リフレッシュ機能が求められるでしょう。
②浪費・乱費行動に対する浪費・蕩尽戦略・・・
私的な生活次元での無為や惰性などを楽しませる「怠惰」戦略を基盤に、無駄づかいや蕩尽などの「浪費」戦略や、冗費や乱費やなどの「蕩尽」戦略などです。
生活民がこれらの行動を求めるのは、日常的な経済生活のしがらみを一旦脱し、金銭にとらわれない、素朴な視点に立ち戻って、それぞれの暮らしを見直していこうとする願望のためです。
このため、関連する商品・サービスには、一時的な浪費・虚脱機能に加えて、私的な生活資源を再構築するための発想や契機を、新たに醸し出す機能が求められるでしょう。
以上のように、生活民の規範離脱行動に対しては、迎合的な弛緩・緩和・浪費・蕩尽提供に加えて、覚醒・再生・リフレッシュなどの刺激提供が必要になると思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿