2017年8月31日木曜日

生活民は「真実」を超える!

生活民とは、「真実」よりも「虚構」から「日常」や「真実」を眺める主体である、と述べてきました。

その意味するところは、これまで何度も述べていますので、改めて整理しておきましょう。

①言葉の示す「真実」とは、メタ・メッセージ」という言葉の約束事に依存しているにすぎない。メタ・メッセージ論では、言葉の示すものを真実⇔曖昧⇔虚構の三空間で使い分けることで、勤勉⇔曖昧⇔怠惰などの生活行動の本質を見直しているだけだ。・・・【
前後軸が作るメタ・メッセージの世界:2015年3月12日】

②「真実」とは「嘘」ではない、と信ずる態度である。私たちは、儀式や儀礼の場で使われている言葉を、些か胡散臭さを感じたとしても、全く疑いをはさむことなく「真実」として理解し、その延長線上で「学習・訓練」や「節約・貯蓄」といった生活行動においても、言葉の示した目標をできるだけ「真実」として受け入れて、それを実現すべく努力しているだけだ。・・・【
メタ・メッセージが「真実」を保証する! :2017年6月29日】

③生活民はモノ界とコト界の両面から、真実に対応していかなければならない。日常の世界とは、コスモスとカオスのせめぎ合う世界、あるいはモノとコトの行き交う「モノコト界」であり、二重の意味で「真実」を保証するものではない以上、真実とはかなり遠いところで生きている存在と自覚することが必要だ。・・・【
嘘を作り出す二重の構造!:2017年6月10日】

④生活民は真実と虚構へ対応力を向上させなければならない。消費市場では、商品供給側からのマーケティング戦略が、真実向けを差真化戦略、虚構向けを差戯化戦略と位置づけて、日常的な戦略とは一味違った戦略で迫ってくる以上、生活民もまた両者への対応を仕分けていく必要がある。・・・【
「脱・真実」へ対応する!:2017年5月23日】

⑤生活民は、象徴次元での言語感覚を高めることで、記号次元のウソ・マコトを仕分ける能力を上昇させていく。言葉には、音声記号や活字記号など「表層意識において理性が作り上げる言語」と、無意識をとらえる「深層意識的な言語」がある。表層的な言語が「記号」であるとするなら、深層的な言語は心理学的な意味での「象徴」である。象徴次元での言語感覚を高めることで、記号次元でのウソ・マコトを仕分ける能力もまた急速に上昇できる。・・・【
“象徴”力の向上でウソとマコトを見分けよう!:2017年7月19日】

以上のように、生活民は”脱・真実”の飛び交う現代社会の中で、“超・真実”を求めていく主体なのです。

2017年8月20日日曜日

生活民は「デザイン」を超える!

生活民とは、「言葉(word)」や「記号(sign)」よりも「感覚(sense)」や「象徴(symbol」を重視する主体である、と述べてきました。

その意味するところは、これまで何度も述べていますので、改めて整理しておきましょう。


①デザイン、ブランド、ストーリーなどが、生活民の真の生活願望を迷わせている。フランスの哲学者、B・スティグレールは、供給者の展開するマーケティング活動が、さまざまなメディアを通じて消費者の感覚を麻痺させ、一人ひとりが元々持っていた、個人的な欲望や欲求を消滅させている、と主張する。・・・【差異化手法を批判する!;2016年2月11日

②生活民は「差異化=記号化」の向こう側に「象徴化」を展望する。同じくフランスの哲学者で、差異化手法の思想的根拠ともなったJ.ボードリヤールでさえ、「すべての命名の起源である意味作用は、価値についてしか語ることができない。象徴的なものは価値ではないからだ。・・・記号と価値を抑制して、象徴的なものを回復させなくてはならない」と述べる。・・・【ボードリヤールも批判する!:2016年3月5日

③生活民は、一人ひとりの人間に元々備わっている感覚・無意識・象徴力を回復させる。供給者の展開する「差異化」行動に対抗して、生活民は「差元化」行動を拡大させ、記号の専横を抑制していく。・・・【差異化を超えて差元化へ:2016年4月19日

④生活民が強化すべき「差元化」行動とは、それぞれの生活世界において、感覚、無意識、欲動、感度、体感、象徴、神話などを求める願望に応え、言葉や記号をあえて外し、身体性や直感性、原始性や動物性などの「身分け」力を回復させることを意味する。・・・【差元化とは何か?:2015年8月20日


⑤生活民は感覚界の3次元に向けて、積極的に働きかける。象徴次元にはシンボルや元型(アーキタイプ)の動きに注意を払い、無意識次元には眠り、酩酊、陶酔といった状況に自らを追い込んで、生来の直感力や超能力を回復させる。そして、感覚次元には個々人の身分け能力、つまり五感や六感などの感覚を鋭敏にして、マーケティングやマスメディアの作り出す幻想を乗り超えていく。・・・【差元化とは何か?:2015年8月20日


以上のように、生活民とは生来の感覚能力を回復させることで、過剰な「記号」社会を言葉と感覚のバランスのとれた「言感均衡」社会へと脱構築させる主体なのです。

2017年8月9日水曜日

生活民は「価値」を超える!

生活民とは「価値(Value=Social Utility)」よりも「私効(Private Utility)」を求める主体である、と述べてきました。

その意味するところは、これまで何度も述べていますので、改めて整理しておきましょう。



①生活民は、それぞれの生活の中で、自分で創り出した「私効」を中心としつつも、外部から調達してきた「価値(=共効)」を「個効」として受け入れ、新たな「私効」へと変換することにで、有用性(ネウチ)の範囲を広げていく。・・・【
生活民は「価値」よりも「私効」を重視!:2016年11月22日】

②生活民は、社会と個人の間にある間人界において、一人の個人として、個人的な使用(=パロール1)を行う時に、社会的効用を受け入れたうえで、「個人的有用性(=私効)」を新たに創り出していく。・・・【
新たな「価値」を創るには・・・:2016年11月29日】

③生活民一人ひとりは、供給側からの執拗なマーケティングに惑わされることなく、消費市場への自らの対応力(Life Creators Marketing)を高めていく。・・・【
生活民は「価値」に惑わされない!:2016年12月7日】

④生活民は、「価値(=共効)」や「個効」を「私効」へ変換するため、「差延化行動」(私仕様、参加、手作り、編集、変換)を使いこなしていく。・・・【
生活民にとって「差延化」とは・・・:2016年12月19日月】

⑤生活民は、差延化力を高めることによって、既成の社会的装置として確立されている消費市場の機能を、新たに「生活素場」へと脱構築していく。・・・【
〝差延化〟で消費市場を脱構築する!:2017年2月25日】

以上のように、生活民とは、供給者の差し出す「価値」を超えることで消費市場」の意味までも変換していく主体なのです。