2017年2月13日月曜日

「変換」・・・生活民マーケティングの神髄!

4つめの「変換」こそ、生活民の「差延化」対応の真骨頂ともいうべき生活行動です。

消費市場から提供される商品のネウチ(共効)を、生活民独自の視点で全く別のネウチ(私効)に変えてしまうという手法です。



代表的な事例は100均商品(100円ショップの商品)の変換です。コーヒーフィルターをリースやランプシェードに、ザルを壁掛け時計に、ステンドグラスオーナメントを窓枠風インテリアに、焼き網をウォールシェルフに、フォトフレームをガラスケースに、100円手ぬぐいを子ども服に・・・などなど、生活民はすでにさまざまな転換を実現しています。

工業・工作用のマスキングテープも、さまざまに変換されています。壁紙、写真フレーム、窓飾りなどのインテリア化は勿論、メガネフレーム、ブローチ、折り紙ネックレスなどのアクセサリー化、ギフトラッピング、グリーティングカードなどの交際グッズ化というように、多様な変換事例が生み出されています。

風呂敷でも、さまざまな使用法が生み出されています。粋なデザインが描かれていますから、壁掛けやテーブルクロスにもなりますし、ネッカチーフとしても使えます。

最も日常的な事例は冷蔵庫です。真夏に独身女性がどのように冷蔵庫を使っているのか、アンケート調査では食品しか上がってきませんが、実際に写真を撮ってみると、食品以外に化粧水、薬品、ビニール袋に入れた通帳や現金、さらには新品のパンティストッキングも入っています。ストッキングは、一度冷凍すると伝染しにくくなるからです。

また冷凍庫には生ごみ入っています。1週間単位で生活していると、毎日は捨てられないので、腐臭を避けるために冷凍してしまうからです。
また先に紹介した救急医療情報キット「命のバトン」も、先端的な変換事例の一つといえるでしょう。

とすれば、冷蔵庫は必ずしも食べ物を保存するだけのものではない。生活民はむしろ総合保管庫、あるいは総合ごみ箱に変換しているのです。

このように、「変換」対応行動には、市場社会の差し出す「共効」を、ユーザーが自らの「私効」へと積極的に変えていく、典型的な生活行動が読み取れます。

とすれば、生活民に求められる「変換」行動への対応力とは、次のようなものになるでしょう。

① 既存の商品の用途や価格などには気に掛けることなく、自らのアイデアで自分の求める用途や私効を実現していくことに傾注することが求められます。

② 「変換」の本質は、日常の常識や既存の価値観を逆転する「コト」次元の能力ですから、そうした能力を常に鍛錬しておかなければなりません。

③コト次元の「転換」目標を実現するためには、既存の商品への「加工力」や「手作り力」など、「モノ」次元の介入能力もまた高めておくことが必要です。

要するに、生活民の「変換」力とは、消費市場そのものを「脱構築」していく、最も基礎的な行動の一つといえるでしょう。

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