このブログでも、半年前にすでに紹介していますが、S社の「白戸家」シリーズは人語を話す「お父さん犬」とその家族のおりなす日々の暮らしという、ユニークな設定が注目されて、CM総合研究所の「銘柄別CM好感度ランキング」でも、デビューした2007年から2014年まで連続8年の間トップを維持してきました。
しかし、2015年度の同ランキングで、K社の「三太郎」シリーズに首位を奪われ、2016年前半でも倍以上の差をつけられています。
しかし、2015年度の同ランキングで、K社の「三太郎」シリーズに首位を奪われ、2016年前半でも倍以上の差をつけられています。
「三太郎」シリーズはお伽噺でおなじみの桃太郎、浦島太郎、金太郎の三太郎に、かぐや姫、乙姫、鬼、花咲爺などが絡まって、コミカルな掛け合いを繰り広げるもので、2015年1月のオンエア開始時から圧倒的な支持を集め、その後も観測史上最高の好感度を維持しています。
この要因はどこにあるのでしょうか。すでにさまざまな論評が行われていますが、このブログの趣旨からみると、幾つかの指摘ができます。
第1は象徴力支援の視点。つまり、ミソロジー戦略がストーリー戦略を超えたことです。
白戸家シリーズは、典型的なストーリー戦略であり、人工的な物語を次々と更新することで、その魅力を保ってきました。だが、人工的な差異化戦略では新奇性が命ですから、ストーリーの展開や新しいキャラクターの登場などが絶えず迫られます。そうなると、展開が頻繁になればなるほど、視聴者はさらなる新しさを求めるようになり、少しでも停滞すれば、すぐに飽きられることになります。それがストーリー戦略の宿命です。
これに対し、三太郎シリーズは昔話・お伽噺・神話などを応用したミソロジー戦略ですから、基本的な筋書が民俗的・潜在的な地盤に基づいており、何人かのキャラクターもまたアーキタイプ(ユングの元型)そのものです。それゆえ、新規性よりも既視性、新しさよりも懐かしさ、表層性よりも深層性が訴求対象になっています。こうした差元化戦略の安心感が視聴者の気持を強くとらえている、といえるでしょう。
この違いが、時代の変化、社会構造の変遷、生活者心理の移行などに伴って、白戸家を退かせ、三太郎への支持を高めたものと思われます。
第2、第3の要因については順番に書いて行きます。
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