2025年6月28日土曜日

生活学・新原論Ⅶ-6:生活時間の地域差を考える!

総務省統計局の「社会生活基本調査」(2022年版)をベースに、生活世界構造の視点から生活時間の実態を探っています。

今回は地域差、つまり都道府県別に生活構造の差異を読み取ります。

まずは差真化(学業、学習・自己啓発・学業以外の訓練)差戯化(趣味・娯楽、スポーツ)の地域差。いわば「まじめさ」と「おあそび」ともいうべき行動で、とりまとめれば地域別の「ゆとり」度はどうなっているのでしょうか。

下表は差真化と差戯化の多い地域を、都道府県別のベストテンとしてあげてみたものです。

差真化では、沖縄県がトップで、京都府、滋賀県、佐賀県が続き、埼玉県以外はすべて西日本の地域です。「まじめさ」行動では西日本が勝っているということでしょうか。

差戯化では、東京都がトップで、神奈川県、大阪府、宮城県、愛知県と続いていますが、高知県以外はほぼ中央地域が入っています。「おあそび」行動は、仙台から大阪までの中央部に偏っているようです。

続いて下図では、差真化(真)と差戯化(戯)のデータをクロスしてみました。両方の位置が高いほど、全体的な「ゆとり」の大きさが現れており、点線で囲ったような、5つのグループが浮かんできました。


➀真高・戯高地域・・・学び度も遊び度もともに高く、ゆとり度の高い地域・・・東京都、大阪府、神奈川県・・・中央地域

➁真高・戯低地域・・・学び度が遊び度より高い地域・・・沖縄県、九州諸県、島根県などの7県・・・主に西日本地域

➂真低・戯高地域・・・遊び度が学び度より高い地域・・・北海道、高知県、宮城県・・・ぼ遠隔地

➃真低・戯低地域・・・学び度も遊び度もともに低い地域・・・青森県、秋田県、山形県・・・東北地域

➄真中・戯中地域・・・学び度も遊び度もともに中程度の地域・・・上記以外の31府県・・・平均的な地域

以上のように、差真化と差戯化をクロスすると、日本列島の地域別特性がかなり明快に現れてきます。

2025年6月16日月曜日

生活学・新原論Ⅶ-5:生活時間の年齢差を考える!

総務省統計局の「社会生活基本調査」(2022年版)をベースに、生活世界構造の視点から生活時間の実態を探っています。

今回はこの調査のデータ(2021年)で作成した図と表(週間時間)を、7差化時間で比較してみると、年齢によって次のような差異が読み取れます。



主な年齢差をあげていきます。

生理的な必要行動である「差元化」時間は、1014歳の669時間から徐々に減り始め、5559歳の546時間で底を打つが、その後は次第に増え始め、85歳以上で735時間と最高になる。主な要因は睡眠時間であり、1014歳で575時間、5559歳で437時間、85歳以上で560時間と変化している。

日常的な必須行動である「差識化」時間は、1015歳の172時間から、年齢上昇とともに一貫して増え続け7084歳で350時間を超えている。家事時間45歳以上で100時間を、また食事時間60歳以上で、それぞれ100時間を超えているためだ。

社会的な活動である「差汎化」時間は、1019歳では60130時間であるが、2024歳の319時間から増え始め、4549歳の397時間で最高に達した後、徐々に減って、6569歳の208時間から減り始め、85歳以上では38時間に落ちる。いうまでもなく、仕事に従事する時間の大小のためである。

情報への接触を求める「差異化」時間は、年齢とともに徐々に増加し、5054歳で100時間を超えると、8084歳では268時間に達する。図に示したように、「差汎化」時間に反比例している。

純私的な生活行動である「差延化」時間は、2529歳から増え始め、3034歳の91時間でピークに達した後、徐々に減って行く。主な要因は2544歳女性層で育児時間が増加するためだ。

遊びを求める「差戯化」時間は、1014歳の102時間から徐々に低下し、5059歳で39時間まで落ちるが、その後は幾分回復し、7579歳には68時間となる。前半の低下傾向と後半の増加傾向は、いずれも「差汎化」時間への反比例のためと思われる。

学びや訓練を求める「差真化」時間は、1019歳の350を超える時間の後、2024歳で106時間まで急減し、25歳以降は10時間内外を続けていく。1019歳では、学業と学習・自己啓発などへの時間が多いものの、25歳を超えると、自己啓発や訓練などには一定時間しか割けないようになってくるようだ。

以上で見てきたように、生活世界構造の視点から生活民の時間消費を探ってみると、20歳と65歳あたりで、私たちの生活構造には大きな変化があるようです。