2025年5月28日水曜日

生活学・新原論Ⅶ-4:生活時間の男女差を考える!

総務省統計局の「社会生活基本調査」をベースに、生活世界構造の視点から生活時間の実態を探っています。

今回はこの調査のデータから、2021年における男女差を考えてみましょう。

1週間当たりの平均時間(分)7差化時間で比較すると、女性と男性の間には、次のような差異が読み取れます。

●最も多い差元化では、男女とも600分でほぼ同じですが、女性の方が睡眠や休息がやや少ないようです。

●2番めの差識化では、女性の方が男性より145分も多いようです。家事や身の回りなど日常的な用事が圧倒的に多いからです。

●3番めの差汎化では、女性の方が男性より123分も少なくなっています。仕事や通勤・通学などに用いる時間が130分も少ないからです。

●4番目の差異化は、男女とも130分ほどで、ほぼ同じです。

●5番めの差延化では、女性が男性の2倍を超えています。育児や買物が多いためです。

●6番めの差真化では、男女とも50分ほどで、ほぼ同じです。

●7番めの差戯化では、女性の方が29分少ない。趣味・娯楽、スポーツとも少ないからです。

以上を整理すると、下図に示したように、女性は差識化、差延化で男性より多く、差元化、差汎化、差異化、差真化、差戯化では男性より少なくなっています。

女性の生活時間の多くは、生活の維持や支援など、家庭内の必需的行動に費やされ、それ以外の時間から捻出されている、ということでしょう。

2025年5月18日日曜日

生活学・新原論Ⅶ-3:生活時間の変化を考える!

総務省統計局の「社会生活基本調査」をベースに、生活時間の動向を考えています。

今回はこの調査のデータを素材に、過去5年間(20162021年)における生活行動の変化を振り返ってみましょう。

1日当たりの週間平均時間を差化時間で読み解くと、次のような変化が読み取れます。


主な変化は次の通りです。

●この5年間では、2019年末からのコロナ禍のせいか、感染の回避外出の抑制などの行動が読み取れる。

●最も増えたのは差元化で、33分増えている。休養・くつろぎが20分、睡眠時間が14分増え、受診・療養が1分減っている。コロナ禍の影響で、外出や遊興などが抑えられ、体力維持に関心が集まったのではないか。

●最も減ったのは差汎化で、24分減っている。移動(通勤・通学以外)と 交際・付き合いがともに7分、仕事が5分減っている。コロナ対策として在宅ワークが増え、外出行動や対人行動が縮小したものと思われる。

●差識化では家事が4分、身の回りの用事が2分増えたのに対し、食事が1分、その他が3分減っている。屋内行動が増えた結果、家事や実の回りの行動が増えた分、それ以外の行動を抑えたのであろう。

●差異化ではテレビ・ラジオ・新聞・雑誌を見る時間が7分減っている。屋内行動が増えたにも関わらず、マスメディアへの関心が薄れているのではないか。

●差戯化はほとんど変わっていない。趣味・娯楽が1分増え、スポーツが1分減っている。個人的・屋内行動が増え、対人的・屋外的行動が減ったのではないか。

●差真化では学業時間が4分減っている。学生や児童の間では感染防止対策として、疲労を避ける傾向が強まったためと思われる

●差延化では介護・看護、育児がともに1分減っている。外出を避ける行動が増えたため、屋内行動にわずかなゆとりが現れたのではないか。

差元化・差汎化・差識化の3行動は、多少の増減はありつつも、全体の8割を占め続けている。

以上のように「社会生活基本調査」を当原論7差化分析で読み解くと、コロナ禍の影響が如実に浮上してきます。