私たちの生活様式は、人口減少に対応して、徐々に飽和・濃縮型へと移りつつあります。
その方向とはいかなるものになるのか、過去100年間の生活様式の変化を参考にしつつ、改めて確認したいと思います。
前回の生業構造に続いて、今回は家族構成の変化。
統計的なデータが残っている、約100年前からの日本人の家族構成を振り返ってみると、下図のようになります。
上の方の実数推移では、次のような変化が読み取れます。
①日本の家族の数は、1920年の1100万世帯から1955年の1700万世帯、1980年の3600万世帯を経て、2020年には5600万世帯にまで達している。 ➁核家族(総務省の定義では、夫婦のみ、夫婦と子ども、単親と子ども)は、1920年の615万世帯から1955年の1037万世帯、1980年の2159万世帯を経て、2020年には3011万世帯に達している。 ③その他の親族世帯(夫婦と両親、3世代、夫婦と他の親族、兄弟姉妹のみ等)は、1920年の425万世帯から1955年の635万世帯を経て、1985年の721万世帯でピークに達し、2020年には378万世帯まで急減している。 ④単独世帯は、1920年の66万世帯から1955年には60万世帯にまで減ったものの、1960年には358万世帯へと急増し、1980年の710万世帯を経て、2020年には2115万世帯に達している。 |
下の方の構成比推移は、次のように変化しています。
①核家族は1920年の55%から1955年には60 %に増えた後、1960~2010年代は50~60%台を続けたものの、2020年には54%まで落ちている。 ➁その他の親族は、1920年の38%から1955年の37%、1960年の31%、1980年の20%と一貫して減り続け、2020年には7%まで落ちている。 ③単独世帯は1920年の6%から、1955年には3 %にまで急落したものの、1960年の16%から広がり始め、1970年代以降一貫して拡大し、2020年には38%に至っている。 |
以上のような変化は、私たちの生活態様にどのような影響を与えたのでしょうか。
❶生活資源の獲得法では、家族・親族中心から個人単位へと比重が移っている。例えば、農業や商工業など家族集団で営まれてきた労働が、給与生活者や雇用者など、個々人の労働へと移行している。 ❷生活資源の消費法でも、家族・親族単位から個人単位へと移行している。例えば、祖父母・夫婦・子どもなど家族集団で営まれてきた生活行動や消費活動が、独立した個々人毎の生活・消費行動へと分散している。 ❸さまざまな意志決定では、家族・親族による集団的な思考が縮小し、個々人の独立的な思考が拡大している。例えば、一人の生活民が己の生き方や暮らし方などを決めようとする際、家族や親族に相談したり配慮したりする機会が減少し、自分自身で考え、かつ行動していくという傾向が広がっている。 |
こうしてみてくると、家族構成100年の変化もまた、私たちの暮らしや働き方はもとより、個々人の考え方や生き方などにも、さまざまな影響を与えた、といえるでしょう。
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