日常の世界とは、コスモスとカオスのせめぎ合う「モノコト界」であり、「真実」を保証するものではありません。
その世界へ近頃ではさらに、IT技術が創り出す「虚構現実」が大量に参入し始めています。
高精度なゴーグル型のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)も登場し、それらを利用すれば、架空の現実を真実のように体験できるようになってきました。
この「虚構現実」では、現在のところ VR、AR、MRの3つが代表的です。
●VR(Virtual Reality : バーチャルリアリティ:仮想現実)・・・コンピューター上に人工的な環境を作り出し、利用者があたかもそこにいるかの様な感覚を体験できる技術。
●AR(Augmented Reality : オーグメンテッドリアリティー:拡張現実)・・・現実の上に付加情報を表示させて、現実世界を拡張する技術。
●MR(Mixed Reality : ミックスドリアリティー:複合現実)・・・VRが創り出した人工的な仮想世界の上に現実世界の情報を重ね合わせ、現実と仮想を融合させた世界を創る技術。
説明文だけではわかりにくいので、実例をあげてみましょう。
●VR・・・現実には見えない星までも、精密に描き出すプラネタリウムアプリ。
●AR・・・スマホの画面に映った夜空の上に、星座の形を描き出すアプリ。
●MR・・・プラネタリウムアプリが描き出した星空の中に、現実に操縦可能なロケットで乗り出していくアプリ。
3つの「虚構現実」を創り出すのもまた、基本的には、私たち人間の持つ「言分け」能力です。
それゆえ、前回述べた「身分け・言分け構造」の中に位置づけてみると、下図のようになります。
VRはコト界が創り出した模擬的世界、ARはモノコト界へコト界が介入した付加的世界、MRはVRの創り出した模擬的世界にコト界の創り出した、もう一つのモノコトが算入する融合的世界ということです。
現在のところはまだVRが中心ですが、今後は現実世界を拡張するAR、さらに仮想と現実を組み合わせるMRへと発展し、虚構と現実が多様に絡み合う日常が到来することになるでしょう。
それにつれて、現実と虚構の間が次第に曖昧となり、真実そのものの意味もまた問い直されるかもしれません。
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