欧米ではカスタムメイド、カスタマーゼーションなどとよばれていますが、こうした供給側からの手法に対して、需要者である生活民はどのように対応していけばいいのでしょうか。
代表的な事例としてスーツを取り上げてみましょう。
スーツでは、非オーダー品のレディメイド(既製服)に対して、オーダー品のカスタムメイド(注文服)があり、服地・カラー・サイズ・採寸・縫製などのレベルで、以下に示すような概ね3つの方式があります。
ユーザーの立場からいえば、
- パターンオーダー:メーカーの差し出す既成服の中から、ユーザーが一つを選んで、調整する方式で、比較的廉価。
- イージーオーダー:メーカーの差し出す、幾つかの選択肢の中からユーザーが一つ一つを選ぶ方式で、標準的な価格帯。
- フルオーダー:すべての選択肢に対して、ユーザーが個別に決定する方式で、かなり高価。
パターン、イージー、フルの順で、ユーザーの選択範囲が強まり、「私」に応じた「仕様」が作られていきますが、その一方でサプライヤーに支払う費用が上昇していきます。
逆にいえば、「私効」を弱めて「個効」や「共効」を受け入れるほど、獲得コストが下がっていくということです。
とすれば、生活民に求められる要素とは、次のようなものになるでしょう。
① 選択という思考、つまり「コト」次元の決定であり、直接的に「モノ」に介入するわけではないから、選択眼、つまり選択基準となる意志決定力の錬磨が求められる。
② パターンオーダーでは「共効」の「個効」化や「私効」化、イージーオーダーでは「個効」の「私効」化、またフルオーダーでは「私効」の集中化など、それぞれの選択におけるネウチの最適化が求められる。
③ パターン、イージー、フルの順に費用が上昇していくから、選択にあたっては、常に費用対便益(コスト・ベネフィット分析)のバランス視点が求められる。
以上のように、「私仕様」次元において、生活民に求められる対応力とは、サプライヤーの提供物を巧みに振り分けつつも、自らの生活願望をどこまでも達成していく、コト次元の能力といえるでしょう。
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